譲渡後の犬の返還要求について

主人の身内より、子犬を譲り受けました。
(理由として、身内の方のご病気、またその奥様の精神的体調不良によるもの)

身内の方が我が家まで届けてくれました。その際、お世話に必要なもの一式と、犬に関する書類等(マイクロチップ関連、狂犬病等ワクチン書類、保険関連)を受け取りました。

譲渡から3日後、寂しくなってしまったので返して欲しいと一方的に返還要求。
こちらは相手方の状況も踏まえ、返還を拒否。
この時、狂犬病に関する市への登録は当方の名義で済ませていたが、マイクロチップの所有者変更はマイクロチップ団体に間に入ってもらっていたが、先方が所有者変更の手続きを拒否。
保険は身内の方が入っていたものとは別会社で当方の名義で加入済。

返さないなら縁を切る等の脅し文句もあり。
それでも返還を拒否していた所、裁判で訴えるとの連絡。

返還要求には応じないといけないのでしょうか。

(追記)譲渡に関し、契約書等の書類は交わしておらず口約束です。

相手が犬を返せと言ってきたことを法的に分析すると、相手は書面がないことを理由に贈与を解除したということになります。
法律上、確かに書面のない贈与契約の解除権はありますが、それは履行が終わっていない部分に限ってのことです(民法550条)。
そして、贈与の対象である犬が既に引き渡されている以上は、相手はもはや解除できません。よって、返還に応じる必要はありません。
なお、相手が飼い主の登録の変更に応じないなら、登録手続を命じるための訴訟を提起しうるでしょう。

確かに法律上、ご相談者に子犬の所有権はありますので、相手が提訴をしてきても、逆にご相談者の方から所有権確認や登録移動の意思表示を求める反訴をして対応できる、つまり、ご相談者において子犬を返還する義務はないと考えます。

しかし、本件において訴訟を係属するコスト(弁護士費用など)や労力・精神的負担・今後の相続などの親族間紛争の可能性など、相手が親族であり、それを根拠に生じた(つまり売買などではなく無償譲渡)事件であるだけに、勝てるか勝てないかだけで決断をすべき事案ではないように思います。
譲渡から3日、情がわかないとは言いませんが、相手はそれよりも長く一緒にいたことと思います。
譲り受けた子犬は確かにかわいいのかもしれませんが、より長くいた親族の妻にとってよりかわいかったことも容易に想像できます。
親族の病気だけでなく、妻の精神的体調不良が原因で手放さざるを得なくなったという相手方の事情による譲渡なのに、3日で返して欲しいという非常識な提案をせざるを得なかったその親族において、子犬を譲渡した後のその妻の激しい精神的体調悪化が容易に想像できます。
そのような子犬に対する情愛は長くいればいるほど更にご相談者にも沸いてしまいますし、逆に、親族の妻のご相談者に対する逆恨みも日々激しくなっていくことは容易に想像できます。

そこで、その返して欲しいという親族に、それまでにかかった実費等を計算してその実費を全て支払うことと一筆(今回の譲渡の事実と返還請求の事実を明記させ、今後は二度とご相談者家族に生物の譲渡はしない旨の念書。)を書かせることを引き換えに有償(実費等)譲渡するというのが、一案かと思われます。
親族間の恨みは簡単に生じる反面、解消はかなり難しいところです。
ご相談者のコストも考えると、むしろその親族に恩を売っておくというふうに、本件は、親族間の感情問題を踏まえ、ご相談者の感情とコストの計算をされても良いのかなと思います。