預金からお金を下ろして葬儀費用に使った場合相続破棄に影響あるかについて。
相続破棄についての相談です。
父親が先日亡くなりまして、銀行の預金から下ろして30万円ほどおろして葬儀費用に使おうと思っております。
その場合相続破棄に影響いたしますでしょうか。
被相続人の預金の一部を葬儀費用に充てた事案で、相続放棄が認められた大阪高裁の裁判例があり,この裁判例をもとに「遺産から葬儀費用を引き出しても相続放棄は可能」と説明する弁護士のウェブサイトもあります。
ただ,一方で,葬儀費用は喪主が負担するのが原則であり香典も喪主に対する贈与であるとする裁判例があり,上記の大阪高裁の事案も,当初は相続放棄を予定せず葬儀費用を遺産から支出したものの,その後に被相続人が巨額の保証債務を負っていた事実が明らかになったというケースで救済事例という評価もあり得るところです。そのため,私見としては大阪高裁の裁判例を一般化できるかどうかは慎重に議論すべきだと思います。
このように,葬儀費用を被相続人の預金から支出した場合でも「相続財産の処分」に該当しないといえるかどうかについては解釈上微妙な問題があり,弁護士によって「慎重に考えるべき」という人と「問題ない」という人がおられますので,公開の場では明確な回答はなかなか難しいというのが率直なところです。