氏名変更の申立て時期と許可の可能性についての相談
氏名変更の申立てを検討しております。
過去に児童相談所で短期間の一時保護を受けた経緯があり、成年後も親族からの望まない接触が続いているため、最近警察に相談し警告連絡を行っていただきました。
既に支援措置と分籍届は適用済みで、一時保護記録関連書類は用意してあり、後日、警告連絡に関する書類も受領予定です。
現在、通称名を使用しており、その使用期間は一年未満です。ただし、電気・ガス会社の支払い用紙や知人との手紙の封筒などで、通称名によるやり取りを最低でも一年分は集める予定です。
【ご相談したいこと】
① 通称名の実績を一年集めてから家庭裁判所に申立てを行うべきか、
② それともすぐにでも申立てを行うべきか、
どちらが適切かについてご助言をお願いしたいです。
また、それぞれの場合において「氏」と「名」の変更が許可される可能性についても、実務上の見込みをお伺いできれば幸いです。
・補足情報
うつ病診断書あり(症状と氏名は無関係だが、内容文には安全な場所での療養を推奨とのこと)。
両親は現住所を把握しており、ブロックすれば自宅訪問の恐れ。今後転居予定だが、氏名を利用して探偵依頼や不動産照会により住所を特定される危険性が高く、氏名変更が必要。
氏と名の変更の理由をどのように組み立てるかがポイントになります。
親からの虐待事案では、親から性的虐待を受けていた申立人について氏・名双方の変更を許可した裁判例が有名ですが、本件でその裁判例を当てはめることができるかどうかについては弁護士へ直接相談して検討してもらった方がよいでしょう。
続いて通称の使用(永年使用)を理由とする許可ですが、名の変更許可は3~5年程度の通称使用で許可されることが多いようです。事案によっては2年程度の通称使用でも認められる場合があり、ネットではそのような体験談を探すこともできますが、その通称が知人や職場、学校等の生活範囲で定着していることを示す証拠(特に年賀状や手紙類などど第三者が作成した物的証拠)をどの程度揃えられるかが重要になります。
一方で、氏の変更許可における永年使用は、公表されている裁判例では、少なくとも20~30年程度の通称使用の実績が前提となっていると思われ、永年使用を理由とする氏の変更許可はかなりハードルが高い(養子縁組や婚姻などで氏を変更した方が容易かつ確実)というのが実感です。
なお、もっばら精神的・心理的理由による氏や名の変更にはきわめて消極的であるというのが裁判所のスタンスと理解した方がよいと思います。診断書等を提出するのはかまいませんが、それを過度に依拠するような理由付けをしてしまうとマイナスの心証を抱かれるリスクがあります。私見としては、本件のような事情では虐待事案という点をどこまで強調できるかがポイントになると思われます。弁護士へ相談・依頼して、計画的かつ慎重に進めた方がよいと思料します。