中絶同意書に嘘の住所を書かれた場合の法的措置を教えてください
不倫関係にある彼との子を妊娠、すぐに彼に相談したところ産んでもいいと言われました。
その際、離婚は求めず私1人で育てることで話をしていました。
しかし、13週になったところで今回は諦めてほしいと言われ、何度も話し合いを重ねおろすことにしました。
そのときに書いてもらった中絶同意書の住所が嘘であることが中絶後に発覚しました。
心身共にボロボロになりながら子どもを手放す決断をしたのに彼の不誠実な対応に怒りが収まりません。
中絶費用は全額支払ってもらいましたが、妊婦健診費用、産後休暇中の給与補填や慰謝料も払う条件だったにも関わらずすぐに工面できないから分割にさせてほしい、時間がほしいと言われています。
①同意書の住所偽造の場合、私文書偽造等で罪にはならないのでしょうか?
罪になる場合は警察に届け出たらよいのでしょうか?
②私が奥様より慰謝料を請求される立場ではありますが、彼に慰謝料請求をすることはできるのでしょうか?できる場合の相場を教えてほしいです。
ご教授いただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。
①同意書の住所偽造の場合、私文書偽造等で罪にはならないのでしょうか?
罪になる場合は警察に届け出たらよいのでしょうか?
→ 刑法の私文書偽造罪における「偽造」とは、作成権限を有する者が内容虚偽の文書を作成することではなく、作成権限を有しない者が他人の名義を冒用して(人格の同一性を偽る)文書を作成することを言うものとされています。
刑法上、名義の偽りのみが文書偽造罪の対象とされている理由の一つとして、内容が虚偽でも文書の作成主体が誰か明らかであれば、虚偽の内容を作成した者に対して民事等の責任追及が可能であるのに対し、文書の名義が冒用され作成主体が偽られてしまうとそれらの責任追及も難しくなることが挙げられています。
そうすると、ご質問のケース(虚偽の住所を記載)では、他人の名義を冒用したのではなく、文書の作成権限ある者が虚偽の内容を記載した場合にあたり、私文書偽造罪には該当しないものと思われます。
ただし、中絶同意書に虚偽の住所を記載したことは、不誠実な行動•中絶手術を受ける女性を不安にさせる等と評価される可能性があり、民事の責任追及の際、慰謝料
の増額事情等と扱われる可能性はあるでしょう。
②彼に慰謝料請求をすることはできるのでしょうか?できる場合の相場を教えてほしいです。
→ 妊娠•中絶に関する裁判例の動向を分析すると、昭和→平成→令和と時代が変わるにつれ、合意のある妊娠•中絶の場合には男性側は損害賠償責任を負わないという女性側の自己責任的な考えから、男女の性の差に目を向けた考え(妊娠•中絶の女性側の負担•不利益を男性側も分担•緩和する行動に出なければならず、それが不十分な場合には男性側も損害賠償責任を負うという発想)や女性の性や子に関する自己決定権の尊重の考え(妊娠のリスクがあるような性交渉をするか否か、子を儲けるか否か、子を産むか否か等の自由で自律的な決定が歪められていないかという発想)にシフトして来ているように思われます。
妊娠や中絶を強要•強制したと扱われるようなケースでは、男性側に100万円を超える損害賠償義務を課す裁判例も見られます。
また、妊娠や中絶を強要•強制したとまでは言えないものの、妊娠•中絶から生じる負担•不利益の分担が不十分、中絶の前後のコミュニケーション不足等を理由に男性側に損害賠償義務を負わせる裁判例も出て来ています。
丁寧にご説明いただきありがとうございます。
1つ質問なのですが、今回のケースは文書偽造罪ではないとのことですが、罰せられる罪としては他にないのでしょうか?