相続口座の不審な預金引き出しについて
父の遺産に関連して、不審な預金引き出しがあり、ご相談させていただきたく存じます。
【相続人】
• 私(長女)
• 妹(次女)
• 特別養子縁組をした私の夫
【事実の概要】
• 父(享年90代)は教員退職互助会に加入し、人工透析を受けていたため、医療費は限度額制度により月1万円前後で済んでいたはずです。
• しかし2024年、東北労働金庫の口座から総額約540万円が引き出されていました。
• 2024年10月7日~11月27日の間に出金限度額が20万円から50万円に引き上げられ、同年11月27日には入院中で本人が出金不可能な状況にもかかわらず、ATMから50万円が引き出されています。
• 遺言書には「通帳ごとに相続人を指定」する記載がありましたが、行方不明の通帳が複数あります。(主に夫に遺贈されるはずだった口座です)
• また、妹が夫に相続される予定の通帳(A銀行)から100万円を引き出しており、「ひ孫の学資保険のため」と説明しましたが、送金記録や保険証券はありません。実際には父が掛けていた簡易保険が解約済であり、その解約金も妹が受け取った形跡があります。二重に資金が引き出された可能性があります。
【ご相談したいこと】
1 入院中や高額出金(ATM・限度額引き上げ等)を法的にどのように整理できるか(不当利得返還請求・使途不明金の扱い等)
2 解約済みの保険について、解約した者や受け取り人、送金先を追う方法があるか
3 弁護士に依頼した場合の流れと費用の目安
4 火災保険の弁護士費用特約を利用できるか
1 法律上は、不当利得又は不法行為になります。
2 保険契約者の相続人であれば、ある程度調査できますし、また、弁護士であれば弁護士法23条の2に基づいて調査することが可能です。但し、余り古い情報は調査不能となる可能性があります。
3 まずは、ご連絡を頂き法律相談を受けて頂き、より詳細な情報をご提供ください。ある程度の情報を頂ければ、お見積もりをさせていただきます。
4 利用することが可能と思われます。
1 入院中や高額出金(ATM・限度額引き上げ等)を法的にどのように整理できるか(不当利得返還請求・使途不明金の扱い等)
→まず、お父様がご存命中の2024年東北労働金庫からの約540万円の引き出し、及び同年11月27日の50万円の引き出しについては、妹氏に対する、不当利得返還請求権(民法703条)ないし、遺留分侵害額請求権(民法1046条)として整理できるかと考えます。
また、妹氏が旦那様に相続される予定の通帳(A銀行)から100万円を引き出した行為については、旦那様から妹氏に対する、不当利得返還請求権(民法703条)と整理することが出来るかと考えます。
もっとも、これらの請求権については、記載いただいている【事実の概要】以外の事情も大事となってきますので、一度直接弁護士に相談に行かれるのも良いかと思います。
2 解約済みの保険について、解約した者や受け取り人、送金先を追う方法があるか
→あります。
推察するに、お父様が契約者であった、解約済みの保険についての調査であれば、お父様の相続人である相談者様で保険会社に問い合わせることで、契約内容や解約時の事情等を確認することが出来るかと思います。
また、弁護士にご依頼された場合には、弁護士が弁護士会照会制度を用いることで、保険会社や妹氏名義の銀行口座の履歴などから、解約した者や受け取り人、送金先を追うことも可能かと考えます。
3 弁護士に依頼した場合の流れと費用の目安
→各弁護士によって流れや費用感は変わってくるものですが、一般的には、①面談して事情の確認、②契約する業務の流れや費用感の確認、③契約締結、④業務進行となるかと思います。業務の流れとしては、各種調査を行ったうえで、妹氏に連絡、その後訴訟などになるかと思います。また、費用感としては、総額で100万円~200万円程度かと考えます。
もっとも、相談者様の要望に応じて業務の流れや費用感は調整あるかと思いますので、まずは一度直接弁護士に相談に行かれるのが良いかと思います。
4 火災保険の弁護士費用特約を利用できるか
→保険の内容によりますが、一般的に火災保険の弁護士費用特約は、日常生活における偶発的な事故で被害に遭い、損害賠償請求を弁護士に依頼する際の費用を補償する特約ですので、今回のような相続案件でも利用できるケースは少ないかと推察いたします。