遺産分割協議書と遺言書に基づく、審判における主張書面作成について
父が亡くなり、相続人は子供3人で裁判所の調停から審判に移行することとなり、主張書面を作成するのに論点整理をしている段階です。
子供は、長男、次男(父逝去前に他界しており、代襲相続人として2人の娘がいます。)、長女である私で、長男と長女は父存命中から長男夫婦と折り合いが悪く話を全くしていません。申立人は長女で相手方は長男と次男ですが主に長男が弁護士と共に対応しています。
父逝去後に、長男が司法書士に依頼し、一切の財産を長男が相続する旨の遺産分割協議書を作成し、代襲相続人の2人は署名押印し、長女の私にも署名押印し返送するよう一方的に連絡がありました。話し合いを全くしていないにもかかわらず、長男は司法書士に相続人と話し合いをした結果、すべてを長男が相続することが決まったと虚偽の説明をして作成させたものです。
そこで質問ですが、代襲相続人の2人は遺産分割協議書に署名押印しているので、審判における遺産分割では相続はないと考えてよろしいでしょうか。
2つ目の質問ですが、父の遺言書が2枚あり、1枚目は自筆遺言で財産は妻が相続するが、父母亡き後は男子が相続する旨の記載があります。2枚目は公正証書遺言で妻に一切を相続する旨の記載です。2枚目の遺言書が新しいので有効なのはわかるのですが、1枚目の「父母亡き後」の件ですが、2枚目の遺言書に抵触しないという考え方もできるのではないかと思い、そうなると、2枚目の遺言書においても男子が相続する部分は有効となるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
ご質問に回答いたします。
1 1つ目の質問について
遺産分割協議は、相続人全員が同意しなければ成立しないため、遺産分割協議は成立していないことになり、代襲相続人の同意も効力がないことになります。
従いまして、審判で、代襲相続人が自己の相続分の相続を主張できることになります。
もっとも、実際に、署名捺印しているということは、当時は、相続する必要はないと判断したのでしょうから、
現時点でも、そのような判断に基づき、長男が代襲相続人の相続分も相続するような取り扱いをすることになる可能性はあるでしょう。
2 2つ目の質問について
ご記載のように遺言書が2通ある場合は、前の遺言と後の遺言の内容が抵触するときに、その抵触する部分について、後の遺言により、前の遺言を撤回したものとみなすことになっています(民法1023条1項)。
ご記載の内容からは、内容が抵触する場合に該当する可能性はあると思いますが、詳しくは、2通の委任状を弁護士に直接見てもらって確認されるといいと思います。
ご質問に対する回答は以上ですが、可能であれば、ご依頼になるかは別として、お近くの弁護士に直接相談されて、
アドバイス等を求めることをお勧めいたします。
ご参考にしていただければ幸いです。
加藤先生、お忙しい中ご対応いただき、ありがとうございました。
審判では、調停とは違い法定相続割合で言い渡されることが多いと理解してます。
1回目の審判の状況次第では弁護士を依頼することも視野に入れてますが、過分な相続は元々望んでいないので、裁判所に任せようかと思ってます。