スポーツ少年団の規約での免責について

スポーツ少年団の規約についてご質問させて頂きます。
指導中に子供たちが事故または熱中症などで後遺症などが残ってしまうことに備えて、団の規約を変更しようと考えております。
近年、保護者から些細なことでも要望や苦情が多く、ボランティアで指導してくださる方が減る中、それでもと指導いただく方々に少しでも快く指導してもらうためです。
スポーツ中に他人を怪我させてしまった場合、原則として損害賠償責任を負う可能性は低いと聞いておりますので、指導者の方々の損害賠償保険が使えない可能性もあり、指導者の方々の金銭面や心の負担を考え以下の文面を規約にいれる予定です。

団員はスポーツ保険に加入するものとする。練習及び試合会場への行き帰り、練習、練習及び試合会場での怪我等については応急処置は行うが、その後の対応については、一切の責任は負わないものとする。

このような文章を同意書や規約に入れ込むことで、裁判等になった場合、有効になるのでしょうか。
もちろん指導者の方もわざと怪我をさせたり、熱中症対策をしないわけではないのですが、最近の猛暑日、ボールを使った競技ですので怪我をする可能性も考えてのことになります。
もし、弁護士の先生に規約等をチェックしていただくとしたら、費用はどれくらいになりますでしょうか?

①規約の有効性について
契約書にそのような文言を入れること自体に問題はありません。

もっとも、実際に事故が起きた際に、そのような文言が入っているからといって、当然に指導者の責任が否定されるということにはなりませんので、このような文言は注意喚起程度の意味合いを持つに過ぎません。

②費用について
法律事務所によっても異なりますので参考程度ですが、数万円〜十数万円という事務所が多いと思われます。

林先生ありがとうございます。

そうなんですね…
裁判等になった場合の指導者の方々を守るような文章の作成は弁護士の先生に頼めば可能なんでしょうか?
どのようなの文章を同意書などでもらってても、指導者の責任が問われますか?
例えば、熱中症対策や応急処置等してても、賠償責任が問われる可能性があるということですね。

ご返信ありがとうございます。
私もスポーツ経験者ですので、お気持ちはよくわかります。

事故が起きた際の責任は、事故の原因や指導者の対処など、様々な事情を考慮して判断することになっていますので、どのような文章を規約に入れてあったとしても、責任が問われる可能性は否定できません。

もっとも、ご指摘のとおり、熱中症や応急処置を適切に行なっている場合には、責任が否定されることもありますので、事故が起きたからといって、直ちに責任を負うということにはなりません。

重要なのは、事故がなるべく起こらないようにすることと、事故が起きた際に適切な対処方法を学んでおくことだと思っています。

ご参考になりましたら幸いです。

林先生ありがとうございます。

凄く参考になりました。
指導者の方々と相談し対処していきたいと思います。

消費者法に取り組んでいる弁護士です。

私の立場からすると、安易な責任限定条項を設けることは、時に子供の命を危なくすることがあるのでお勧めはできないです。
たとえばですが、熱中症になった際、救急車を呼ぶのが遅れて重症化するなどがあります。

この点、「団員はスポーツ保険に加入するものとする。練習及び試合会場への行き帰り、練習、練習及び試合会場での怪我等については応急処置は行うが、その後の対応については、一切の責任は負わないものとする。」では、上記のような救急車をすぐに呼んでいれば助かった場合などでも、形式的に同規定が適用されて免責されてしまう危険があります。
それは、本当に子供にとって良いことなのかという問題です。

なお、上記のような規定を置いても、①公序良俗違反で無効になる可能性がありますし、②会費の徴収等の状況によっては、スポーツ少年団が、消費者契約法上の事業者に該当し、不当条項の無効規定が適用される可能性があります。

日本スポーツ協会も過去に、ご質問についてコラムを掲載していたことがあり、こちらもご参照することをお勧めします。
https://www.japan-sports.or.jp/news/tabid92.html?itemid=2187

西谷先生 
ご回答ありがとうございます。
コラム読ませて頂きました。
もちろん、色々な対策をし、熱中症に関しても応急処置をした上で必要であれば救急車を呼ぶことも想定した上で指導されてると思います。
できる範囲での対応をした場合でも、事故は起こってしまう可能性を考え、保護者への注意喚起のために使用するよう検討したいと思います。
部費に関してですが、指導してくださる方は無償ボランティアでされており、部費は団の活動での使用に限られております。その場合でも事業者扱いになる可能性があるということですね。
勉強になりました。
ありがとうございます。