能力不足による解雇の法的リスクと高度人材の扱い方

来年に
上場を控えたベンチャー企業です。
私は企業側総務部の立場です。

1年前に、
弊社のレベルでは
かなり優遇された条件で
雇ったスタッフがいます。
無期限雇用正社員で
年棒1400万円程の給料です。
一般社員です。
年俸を14で割って
12ヶ月の月給と夏と冬に1ヶ月ずつの賞与です。

そのスタッフが
社長との折り合いが悪いので、
予告手当を出して、能力不足という理由で、
解雇にさせてもらいまいた。

その後、
3か月たってから
弁護士を通じて、不当解雇を申し立てて来ました。
「退職同意の条件として、
給与5年分を出すなら退職に同意する。
そうでないならば裁判にする。」
と。

顧問弁護士に相談すると、
「社会的客観的な解雇要件を全く満たしていないのに、
手順を踏まずに解雇したほうも悪い。
これは相手方の言い分も正しい。
今から裁判になれば、もう既に数ヶ月経過しているし、判決まで1年半以上は掛かるでしょう。
しかも、能力不足理由では、まず勝てない。
そうなればバックペイにプラスして、
合計3000万円程度は最低でも
解決金を支払わされる。そんな判例は沢山ある。」
とのことですが・・・。

そこで
質問です。
「いくら解雇しやすい高度人材の中途採用でも、
能力不足理由では、まず勝てない。」
この意味はどういうことでしょうか?
能力不足は解雇のハードルは高いのでしょうか?高度人材の中途社員は解雇しやすいとネット検索では書いてあったのですが?

能力不足解雇は、非常にハードルが高いです。いわゆるIBM事件判決を見れば、能力不足解雇には、よほどの覚悟と手順が必要であることがわかります。 

高度人材だから解雇しやすいということはありません。おそらく要求される能力基準が高いという意味でしょうが、社長と折り合いが悪いから能力不足ということにはならないでしょう。

他方で、給与5年分の解決金要求は、会社が裁判で勝てないことを見越して足元を見た行き過ぎの主張だと思います。労務提供なしで5年分の給料を請求する法的な正当性はありません。

もはや解雇が有効か否かという議論はあまり意味がなく、単に解決金を下げてくれという交渉も効果は期待できません。

復職させてどう処遇するかというカードを持ち、労働者側の出方を見ながら微妙なさじ加減で交渉する必要があります。労働者側にも気持ちの変化があります。当職の経験上、最終的に妥当な解決金額で合意退職に持ち込める可能性は決して低くないと思います。