中絶費用の請求について
合コンで知り合った男性と2ヶ月ほど身体の関係を持ち、妊娠をしてしまいました。
話し合いの結果中絶をすることになり、彼が手術当日付き添いをすること、中絶の費用を全額負担すると言ってくれました。
しかし当日、彼は寝坊したと言い約束の時間になっても来ることはなく、中絶の費用も「今はお金がないから」と払ってくれませんでした。
その後、LINEでのやり取りで何度も中絶の費用を請求しましたが「来月まで待ってほしい」、「仕事が忙しく体調が悪い」と現在も振込を3ヶ月ほど先延ばしにされています。
彼とはやり取りができる状態ではありますが、払う気はなさそうです。
また、妊娠発覚から手術当日までのメッセージを削除してしまい、証拠が欠けています。
この場合、中絶費用と慰謝料の請求はできますでしょうか?
また、弁護士の方に依頼した場合、彼に対して取れる額よりも依頼料の方が高くつくのでしょうか?
ご教示のほど何卒よろしくお願いいたします。
性行為中、ゴムをつけてほしい旨を説明しましたが付けてくれず、それが事後に発覚しています。
また、彼が手術当日現れなかったため手術の日程をずらしています。
妊娠•中絶に関する裁判例の動向を分析すると、昭和→平成→令和と時代が変わるにつれ、合意のある妊娠•中絶の場合には男性側は損害賠償責任を負わないという女性側の自己責任的な考えから、男女の性の差に目を向けた考え(妊娠•中絶の女性側の負担•不利益を男性側も分担•緩和する行動に出なければならず、それが不十分な場合には男性側も損害賠償責任を負うという発想)や女性の性や子に関する自己決定権の尊重の考え(妊娠のリスクがあるような性交渉をするか否か、子を儲けるか否か、子を産むか否か等の自由で自律的な決定が歪められていないかという発想)にシフトして来ているように思われます。
妊娠や中絶を強要•強制したと扱われるようなケースでは、男性側に100万円を超える損害賠償義務を課す裁判例も見られます。
他方、妊娠や中絶を強要•強制したとまではされないものの、妊娠•中絶から生じる負担や不利益の分担が不十分、不利益の緩和に向けた行動が不十分、中絶の前後のコミュニケーション不足等を理由に男性側に損害賠償義務を負わせる裁判例が近時増えて来ているように思われます。
ご投稿内容からしますと、あなたのご事案でも、中絶の手術日に現れない、中絶費用の負担の約束を果たさない等、これらの裁判例のように、妊娠•中絶に関する慰謝料等の損害賠償請求が認めらる可能性があるかもしれません。
ただし、妊娠発覚から手術当日までのメッセージを削除してしまい、証拠が欠けている等のご事情があるようですので、他の証拠等で立証可能か等も含め、一度、お住まいの地域等の弁護士に直接相談してみることも検討なさってみてください(弁護士費用についても、その相談の際によく確認してみてください)。