お金を貸した相手が自己破産
出会い系で知り合った女の子に困ってるという事で。いろいろな話をして
800万程お金をお貸ししました。
今年の4月に貸しました。
ですが、返済が厳しくなったとの事で
自己破産するとの事です。
本当に私は困ります。詐欺みたいた物です。
こちらも全財産だったので
相手側を訴えたりできますか?
相手側を自己破産できなくさせれますか?
これは立派な詐欺と思います。
自己破産されたら泣き寝入りしかないですか?
相談者様で相手の自己破産を阻止することは非常に困難です。ただ、いくつかの方法で返済を求めることが出来る可能性がございます。
自己破産は、借金の返済が不可能になった人が、裁判所に申し立てて法的に借金を免除してもらう手続きです。この手続きは個人の権利であり、債権者(お金を貸した側)が「自己破産をさせないでほしい」と申し立てても、基本的に認められることはありません。
ただし、不当な債務負担行為(返済不能であることを知りながら、借り入れを行うこと)が認められると、裁判所が自己破産を認めない(免責不許可)と判断する可能性があります(破産法252条1項2号)。
また、破産法第253条1項2号は、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」を免責の対象外としています。すなわち、詐欺によりお金を譲り受けた場合には、この「悪意で加えた不法行為」にあたるため、自己破産が認められたとして、お金を渡した者は、破産者に返済を求めることが出来ます。
加えて、現在はまだ破産前ということですので、すぐに返済を求め訴訟を起こすという方法もございます。
相談者様としては、まず相手方に返済を求めつつ、詐欺の告訴など、先方の借入れが不法行為ないし不当な債務負担行為であることを前提とした対応を取られるのがよろしいかと思います。
また、自己破産された際にも、裁判所に対し不当な債務負担行為であり、免責不相当である旨の意見を申し入れたり、不法行為(詐欺)にあたるため、別途訴訟により回収する余地がございますので、粛々と対応されるのがよろしいかと思います。
実際に詐欺被害として捜査が進む可能性もございますので、相談者さんでの対応が難しいようでしたら、一度弁護士に直接相談してみることをおススメいたします。
今後の進め方を考えると、金額が大きいこともあるので、時系列や証拠関係の確認を十分に行った上で詐欺罪(刑法246条1項)での刑事告訴を検討することが重要だと考えられます。
破産手続内で免責不許可事由(破産法252条1項2号、具体的事情によってはその他の号)に該当する事案である旨の指摘をすることは考えられますが、多くの事案では裁量免責(同条2項)という結果になります。その結果に承服できない場合は、破産免責後、訴訟提起をして800万円を請求することになります。これに対し、借主側は破産免責の反論をすることになりますが、貴方側からの再反論として非免責債権(破産法253条1項2号)に該当する旨の主張立証をすることになります。この再反論の際、冒頭で述べた刑事告訴の結果が有利に作用する可能性があります。
<参照:破産法抜粋 252条1項2号・同条2項、253条1項2号>
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
(免責許可の決定の効力等)
第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権