検察官の裁量範囲と不起訴・略式の判断基準について教えてください

検察官の裁量の範囲について教えていただけますか?
検察官の裁量はどれくらいあるのでしょうか。
例えば脅迫罪で、脅迫メール30通を送ったが、示談金話の示談が成立し不起訴になる場合と、
略式になる
ということはあるのでしょうか?

A検事は略式、B検事は不起訴みたいなことはありますか?

個別の事案についての不起訴か略式かの結果の違いについては、諸事情が考慮されるため、それだけではなんともいえません。
また、検事ごとに判断が異なる可能性はゼロではありませんが、同時期の同じ検察庁での事件であれば、どの事件も上司が決裁をするため、それほどばらつきはでないでしょう。

ネクスパート法律事務所の弁護士の北條です。

1. 検察官の裁量の範囲について
検察官は、事件を起訴するかしないか(つまり、裁判にかけるかどうか)を決定する非常に大きな裁量権を持っています。これを起訴便宜主義といいます。
検察官は、単に犯罪の証拠が十分にあるかという点だけでなく、
・犯罪の軽重、悪質さ
・被害の程度
・示談の有無、被害者の処罰感情
・被疑者の年齢、性格、前科の有無、反省の度合い
といった、事件に関するあらゆる事情を総合的に考慮して、起訴・不起訴を判断します。

2. 示談成立後の不起訴と略式起訴の可能性
ご質問の「脅迫メールを30通送ったが、示談が成立した」というケースでは、検察官の判断は不起訴か略式起訴(罰金刑を求める簡易な裁判)のどちらかになる可能性が高いです。
・不起訴になる場合
示談が成立し、被害者が加害者を許すという意思(宥恕)を示している場合、検察官は当事者間で解決済みであり、あえて国が刑罰を科す必要はないと判断し、起訴猶予という不起訴処分にすることが多いです。
・略式起訴になる場合示談は成立したものの、脅迫メールの回数が30通と多く内容が悪質であるなど、犯行態様を重く見た場合は「示談は考慮するが、一定の制裁は必要」と判断し、略式起訴(罰金刑)を選択する可能性もあります。

3. 検察官による判断の違い
A検事は略式起訴、B検事は不起訴というように、担当する検察官によって判断が分かれることはあり得ます。
検察庁内にも一定の判断基準はありますが、最終的な判断は個々の検察官の裁量に委ねられています。そのため、どの事情を特に重視するかによって、結論に違いが出ることがあります。
ただし、検察官も組織の一員であり、上司の決裁を得て処分を決定するため、個人の感覚だけで大きく判断がぶれることは通常ありません。