事実婚解消の法的認定と慰謝料請求の可能性について相談
初めまして。私は2019年8月から2024年3月まで、事実婚の相手(以下「A」といいます)と同居しておりました。
2019年8月から2024年2月までは海外に居住しており、その間、現地政府には事実婚関係として正式に届出をしておりました。一方で、日本においては、事実婚に関する税務上、戸籍上、住民票上などの行政手続きは一切行っておりません。
しかし、2024年3月、Aから一方的に家を追い出され、同居は終了しました。その直前には、「何で俺たちが付き合ってると思うの?」「自分の夢を手伝ってくれないなら、一緒にいたくないから出ていけ」などの発言がありました。このような経緯から、私としては、追い出された時点で双方の認識としても事実婚は解消されたものと理解しています。
その後は、経済的な関係や接触はほぼなく、住民税も別に納付しており、子どももいません。直接会ったのは、荷物の受け取りなどのために3回程度会ったのみです。
ところが、2025年7月、私に新しい交際相手がいることをAに伝えたところ、「自分たちは今も事実婚状態にある」「浮気だ」と一方的に主張され、困惑しております。
Aの主張によれば、私が同居中に何度かAから家を追い出されたこと、一度合意の上で約9ヶ月間別居した後に再度同居した経緯、また、付き合っていた期間が事実婚期間も含めて14年間に及ぶこと等から、2024年3月の同居終了についても「別れたとは思っていない」とのことです。
このような状況を踏まえて、以下の点についてご相談させていただきたく存じます:
1. Aは「現在も事実婚が継続している」と主張していますが、私としては2024年3月の同居終了時点で事実婚は解消されたと考えています。この主張が法的に認められる可能性はどの程度あるでしょうか。
2. 同居期間中、私はAから暴力やモラハラを受けていました。暴力については2020年当時の画像・動画がありますが、これらの証拠は、事実婚解消の補強材料や、逆にAに対する慰謝料請求の根拠として有効に活用できるでしょうか。
3. Aは私の恋人に対して「損害賠償を請求する」と言い、あわせて恋人の名前や住所を教えるよう要求してきています。このような要求に対して、どのように対応すればよいかご助言いただけますでしょうか。
ご多忙のところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
具体的な事実関係が定かでないため、一般論から回答させていただきます。
まず、事実婚の解消については、法的に手続きが定められていないため、この事情があれば確実に事実婚の解消が認められるものではありませんが、内縁関係が法的利益として認められるための要素である、同居の事実と生計を一にしている事実があるかどうかという点が重要になると考えられます。
ご相談者様において、2024年3月に同居を終了されており、生計を別にしているのであれば、事実婚を解消したと判断される可能性はあると思われます。
次に、暴力やモラハラについてですが、不法行為に基づく慰謝料請求になると考えられます。
ただ、不法行為に基づく慰謝料請求の時効が3年であるため、不法行為として請求するのではなく、事実婚を解消されたことを理由とする慰謝料請求で主張することは可能になるかと考えられます。
最後に、要求については、教える義務はありませんので、個人情報であるため教えないなどと、対応することが考えられます。
具体的な進め方等は、事実関係の検討が必要になりますので、弁護士にご相談いただくのがよいと思われます。
ネクスパート法律事務所の弁護士の北條です。
1. 事実婚の解消時期について
事実婚関係がいつ終了したかは当事者の一方がどう思っているかという主観ではなく、夫婦としての共同生活が客観的に見て破綻した時点で判断されます。
・Aさんからの一方的な同居解消の要求(「出ていけ」という発言)があったこと。
・実際に同居が終了し、別々の生活を送っていること。
・同居終了後は経済的なつながりもないこと。
これらの客観的な事実から、あなたが家を出た「2024年3月の時点で事実婚関係は破綻・解消した」と法的に認められる可能性は高いと考えられます。Aさんが一方的に「まだ事実婚は続いている」と主張しても、その主張が通る見込みは低いでしょう。
2. 暴力やモラハラの証拠の有効性
お持ちの画像や動画は、法的に非常に有効な証拠となります。これらは、以下の2つの点で重要な意味を持ちます。
・事実婚破綻の原因の証明
Aさんの暴力やモラハラが、関係を破綻させた主な原因であることを示す証拠になります。これにより、関係破綻の責任がAさんにあることを明確にできます。
・慰謝料請求の根拠
Aさんの暴力行為は、あなたに対する不法行為です。これによって受けた精神的・肉体的な苦痛に対して、慰謝料を請求するための直接的な証拠として活用できます。
3. 新しい恋人への要求への対応
Aさんに対して、あなたの新しい恋人の名前や住所などの個人情報を教える法的な義務は一切ありません。
事実婚が2024年3月に解消されている以上はその後にあなたが誰かと交際しても不貞行為(浮気)にはあたりません。
Aさんがあなたの恋人に対して損害賠償を請求しても、その請求は法的に認められないでしょう。
Aさんからの要求に対しては、直接返答せず、「何かあれば弁護士を通じて連絡してください」と伝え、それ以上の接触を避けることをお勧めします。