賃貸契約書の名義変更の必要性

・父が所有し賃貸に出していた隣の家を、父が他界後に弟が相続しました。 土地・建物の登記は名義変更しましたが、賃貸契約書は父の名義のままになっています。

・私はその家の隣の家に住んでいます。

・相続で揉めたので弟を信用していませんし、弟には多額の借金がありますのでその家が差し押さえられる可能性もあると心配しております。
 
・私は再三にわたって賃貸借契約書を弟の名前で作成しなおして欲しいと頼んでいますが、2年以上はぐらかされています。

・このまま父の名義の賃貸契約書のままで何か問題が起こった場合に、父の相続人として半分の責任を追及される可能性はありますか? 私が相続したのは今私が住んでいる家で隣の賃貸の家は相続していません。

・弟は賃貸借契約書のまき直しは費用が掛かるのでやらないが、私に責任がない事の覚書は借主・貸主連名で作成しても良いと言っています。 覚書に効力はありますか? 
(弟と不動産管理会社は名義変更の必要はないと言っていますが、信用できません)

・隣に住んでいるために賃貸トラブルに巻き込まれたくないです。

お答えいたします。賃貸物件について既に弟さんに所有権移転登記がなされているのであれば,賃貸人の地位も弟さんに移転しております。従って,賃貸借契約において何か問題が発生したとしても,相談者の方が責任を問われることはありませんのでご安心下さい。なお,覚書については,当然のことを記載するので作成しておいても余り意味はありませんが,安心のために作成しておくのもよろしいかと思います。

賃貸人の地位は、不動産の所有権の移転により当然に承継されます(民法605条の2)。
本件では、既に土地建物の所有権が弟さんに移転されているとのことですので、賃貸人としての地位は弟さんに承継されています。

したがって、賃貸借契約書を新たに作成するまでもなく、元々の賃貸借契約の内容がそのまま弟さんに引き継がれている状態です。

もっとも、借主が賃貸人の変更を知らず、誤解に基づいて旧所有者の法定相続人である貴方に対して修繕等を求めるようなこともあり得るところです。

その場合、借主からの求めがあった時に、不動産登記を示して説明すれば足りるため、それほど心配する必要はありません。

このような事態を事前に回避するためには、賃貸借契約書を作り直すまでの必要はなく、借主と弟さんとの間で連名の覚書を作成し、賃貸人が弟さんに変更されたことを確認しておけば、対応としては十分です。

ご回答ありがとうございます。
先生方のおかげで解決できてやっと安心出来ると思います。
念のため覚書を作成したいと思います。