示談交渉を進めたいが事件化前に相談できる弁護士は?

自分が加害者側で、謝罪した際、相手からは、「被害届を出すかどうかは考えておく」と言われました。被害届が出される前に示談したいのですが、どこの弁護士に相談しても、「警察から連絡が来てからまた連絡するように」と言われたり、そもそも、事件化する前の相談を受付なかったりで、こういう場合は、どこにも相談はできないんですか?相手の反応から、示談には応じてくれそうです。

はじめまして
元警察官弁護士の藤本顯人です。

被害届を出される前に示談できた方が、警察からの捜査を受けるリスクが大きく減るのは間違いないので、当所含めて、そういった弁護活動を行っているところはあります。
ただし、相手がすでに訴える気持ちが消失したかもしれないところに交渉すると、訴えようという気持ちを再燃させるリスクもあります。
この立場から、実際に訴えられた後に来てくれという考えの弁護士も居るのだと思われます。

いずれにせよ、ご不安であれば再度、別の弁護士と面談の上、対応をご検討されるのが良いと思います。

ご相談の件は、加害者側として事件化(被害届の提出)される前に示談を成立させたいという、非常に現実的かつ戦略的な対応です。実際、示談が早期に成立すれば、被害届が出されない可能性が高まり、将来的な刑事責任(逮捕・起訴・前科)を回避できることが多いです。しかし、実務上、事件化前の段階で弁護士に相談・依頼しづらい事情も存在します。

まず、なぜ弁護士が「警察から連絡が来てから」と言うのかというと、事件化前の段階では事実関係が不確かで、弁護士として正式に受任して交渉するには情報が不足しているからです。被害者の氏名や連絡先が分からず、証拠も乏しい場合、示談交渉の法的根拠が曖昧になりやすく、職務倫理上の問題(脅迫的な働きかけに誤解されるリスクなど)もあるため、多くの弁護士が慎重になります。

しかし、それでも事件化前の示談が最も効果的であることは事実です。そのためには、まず「民事的な話し合い」として位置付け、相手の感情に寄り添いつつ、謝罪と賠償の意思を文書や金銭で明確に示すことが重要です。この段階では、「被害届を出さないでくれ」と直接的に頼むことは避け、「誠意として償いたい」という表現にとどめます。強要や脅迫と受け取られないよう細心の注意が必要です。

弁護士に依頼したい場合は、刑事事件や少年事件に積極的に対応している弁護士を探すことが鍵です