遺産分割前の預金引き出し、不透明な支出、登記、未把握の預金口座に関する相続相談

【相談者】
被相続人(祖父)の相続人である母(実子)および父(養子)の長女(私)です。
相続人は、母・父・叔母(母の妹)の三名です。

【背景と現状】
祖父の死去に伴う遺産分割において、
その後に以下のような不透明な行為や主張が重なり、状況が複雑化しています。
法的な見解・方針整理を希望しております。

① 遺産分割前に叔母が祖父の預金を引き出していた件
* 祖父の通帳のうち、令和6年に作成された自筆の遺言書にて、「誰にどの口座を相続させるか」が明記されていました。
* ところが遺産分割協議前に、叔母がこの通帳から100万円を引き出し送金していた事実が判明しました。(この100万円を引き出していた口座は祖父が私の父に譲ると記載していた口座です)
* 本人は「長男の娘(祖父のひ孫)の学資保険のためだった」と説明していますが、送金記録も保険証書も提示されていません。
→ この点については、不当利得・使い込みに該当し得るのではないかと考えています。

② リフォームに関する不透明な主張と費用
* 叔母は、祖父の旧宅を「リフォームしたい」と主張し、勝手に業者に見積もり依頼をしています。
* その後、「手付金を払った」「まだ払っていない」など発言が二転三転しています。
* 契約書や入金証明もないまま、「見積もりを出してもらったからやらなければならない」と強く主張しています。
→ 契約の有無や支払実態が不明であり、このような主張が相続分に影響を与える可能性があるのか知りたいです。

③ 医療費としての定期出金の不透明性
* 祖父は退職教職員互助会(退教互)に加入し、また透析による障害者認定も受けていました。
* このため、本来は自己負担限度がある医療費制度の適用を受けていたはずです。
* しかし、祖父名義の口座から毎月5万円前後の「医療費」名目の出金が記録されています。
* 叔母は「通院は補助されるが、入院は対象外だった」と主張していますが、これは制度的に不正確ではないかと思っています。
→ 医療費出金が実際の医療支払いなのか、私的流用を含んでいた可能性があるのか調査の余地があると考えています。

④ 不動産の登記・税金に関する主張
相続対象の不動産は下記の2件で、三者間で相続方針は合意済です:
1. 祖父・叔母・従兄弟が同居していた住宅(祖父単独名義) → 叔母が相続予定
2. 母と父の自宅(建物は既に母・父名義、土地のみ祖父名義) → 母と父が相続予定
ところが叔母は、「登記を早くしないと贈与税がかかる」と繰り返し主張しています。
本件は明らかに相続による所有権移転登記の対象であり、贈与税の論点は出ないと認識しています。
→ この点が法的に誤りであることが明確であれば、説明に使える見解をいただきたいです。

⑤ 弁護士費用特約(火災保険)の活用について
当方の保険(家財保険)に「弁護士費用特約」が付帯されており、
本件のような相続トラブルに本特約が利用可能かどうかも併せて確認したいです。

⑥ 被相続人名義の未把握預金口座の存在について
現時点では、祖父の通帳・預金口座を全て把握できているわけではなく、
相続人側が確認できていない隠れた口座が存在する可能性があると考えています。
* 特に、祖父と同居していた叔母が生前の口座管理を行っていたため、全体像を把握できていません
* このような場合、弁護士に依頼することで「被相続人名義の預金口座が他に存在するか」調査することは可能か、
* 可能であれば、必要となる手続き・書類(戸籍・委任状・相続関係説明図など)についてもご教示いただきたいです

【補足】
・母および父が相続人であり、私はその長女としての相談者です
・可能であれば、遺産分割協議書の作成支援や、穏便かつ実務的に整理するための方針についてもアドバイスをいただきたいと考えています

以上、どうぞよろしくお願いいたします。

① 遺産分割前に叔母が祖父の預金を引き出していた件
→ この点については、不当利得・使い込みに該当し得るのではないかと考えています。
  引き出したのが生前であり、祖父の承諾がない場合は
  祖父に対する不当利得となります。
  不当利得を行使できるのは、原則として、遺言書で預金について指定されている
  父ではなく、遺言でその他の財産等不当利得返還請求権を取得することが指定されていれば
  指定されている人で、指定されていなければ相続人が法定相続分に従い
  相続します。

② リフォームに関する不透明な主張と費用
→ 契約の有無や支払実態が不明であり、このような主張が相続分に影響を与える可能性があるのか知りたいです。
  祖父がリフォームを契約あるいは承諾していたのかによります。
  祖父たリフォームに関与していなければ祖父には無関係で相続には影響しません。

③ 医療費としての定期出金の不透明性
→ 医療費出金が実際の医療支払いなのか、私的流用を含んでいた可能性があるのか調査の余地があると考えています。
  相手方が病院に支払っているのであれば、病院に対する支払明細を出してもらえばよいと思います。

④ 不動産の登記・税金に関する主張
→ この点が法的に誤りであることが明確であれば、説明に使える見解をいただきたいです。
遺産なので、相続税がかかるのであって、贈与税はかからないと思います。
相続開始後10カ月以内に相続税の申告をする必要があります。
税金については税理士に相談してください。

⑤ 弁護士費用特約(火災保険)の活用について
相続に適用があるのかは、その保険会社に確認してください。
適用があるとしても、保険の契約者のみ(父か、母のどちらか)に適用がある可能性もあります。

⑥ 被相続人名義の未把握預金口座の存在について
 預金口座を一括で照会する制度はありません。
 そこで、自宅の近くの心当たりの銀行に残高証明を申請することを繰り返すほかありません。


・母および父が相続人であり、私はその長女としての相談者です
・可能であれば、遺産分割協議書の作成支援や、穏便かつ実務的に整理するための方針についてもアドバイスをいただきたいと考えています

 弁護士に遺言書を見せて面談で詳しい事情を話して相談された方がよいと思います。

ネクスパート法律事務所の弁護士の北條です。

1. 預金の引き出しについて
遺産分割協議が完了する前に、特定の相続人が被相続人の預金を引き出すことは、原則として認められません。特に遺言で相続先が指定された口座からの引き出しは「使い込み」と判断される可能性があります。叔母様には、その使途を証明する資料の提示を求めるべきです。説明がない、あるいは不合理な場合は、その金額を叔母様の相続分から差し引いて計算するよう主張することが考えられます。
2. リフォーム費用について
リフォームの実施には、相続人全員の合意が必要です。叔母様が単独で話を進めていても、「契約書や支払いの証明」がなければ、他の相続人が費用を負担する義務は生じません。
3. 医療費の出金について
公的な医療費助成制度を考慮すると、毎月の出金額に不自然な点があるかもしれません。これも使い込みの可能性を視野に入れ、叔母様に「領収書や診療明細の開示」を求めることが第一歩となります。
4. 登記と税金について
相続によって不動産の名義を変更する手続きは「相続登記」であり、「贈与税の対象にはなりません」。発生するのは登録免許税と、遺産の総額によっては相続税です。叔母様のご認識は誤りである可能性が高いです。
5. 弁護士費用特約について
契約内容によりますので、まずはご加入の保険会社へ直接お問い合わせいただくのが確実です。
6. 未把握の口座調査について
弁護士にご依頼いただければ、相続人様の代理人として各金融機関に照会をかけ、被相続人名義の預金口座の有無や取引履歴を調査することが可能です。これには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本、委任状などが必要となります。

穏便な解決のため、まずは当事者間で冷静に話し合うことが望ましいですが、難しい場合は弁護士が代理人として交渉や調停を進めることも有効です。遺産分割協議書の作成支援も対応可能です。