SNSの鍵アカウントでの名誉毀損について
SNS鍵アカウントでの名誉毀損について
HNを使いSNSで作家活動をしています。
先日、アカウントに匿名のDMを貰い、作家仲間Xさんが鍵アカウントで「A(私)から暴言を言われた」「Aから人格否定を受けた」と呟いているという報告とスクリーンショットを受けとりました。
名前は伏字にして何度か上記のような投稿を行っていたようですが、1度だけ私の名前を出したようでその投稿を見てDMで報告をしたとのこと。
私の名前を出した投稿はすぐに削除したそうですが、直後に続く投稿の内容から、恐らく今まで伏字で悪口を言っていたが誤爆風に名前を出して投稿することで誰の悪口であったかを周囲に気づかせ、味方になって欲しいという考えなのではと思っております。
下記情報を踏まえ、
①名誉毀損や侮辱罪などが成立するか
②①が成立する場合でもしない場合でも、謝罪(内々+Xさんのアカウント上で)と投稿の削除の要請が可能か
を伺いたいです。
・鍵アカウント(フォロワー100人以内)での投稿
・名前伏字での投稿(名前伏字ではありますが、私とXさんの所属しているコミュニティが小規模をであることや、実際DMでの報告があった以上私であることが特定できる内容であったと考えています)
・私は作家活動を行っており、作品販売の場(ネットではなく現実の場)に顔出ししていること
・コミュニティの中では私=HNが通っていること(コミュニティの仲間内で食事に行ったりすることもあるため、現実の私の社会的評価の低下につながっていると考えています)
・私はSNS上で仕事を受けており、今回の件が仕事上の風評被害に繋がっているのではないかということ
・Xさんには謝罪・削除して欲しいという対話していましたが、謝罪・削除する気がないこと
開示請求にはURLが必須とのことですが私はXさんの鍵アカウントのフォロワーではないため入手が難しくどうしたものかと思っております。。
①名誉毀損や侮辱罪などが成立するか
相手が鍵アカウントではあるものの、100人以内程度の不特定多数人と言ってよいほどのフォロワーがいるので、公然性要件はクリアしていると思います。(少数者から伝播する可能性があるので。)
また、内容的にも名誉毀損または侮辱罪にいう事実の摘示にあたると思います。
もっとも、ハンドルネームと個人の結びつきが十分といえるかは争われる余地があるかもしれません。
そうなると、犯罪としては責任を問えない可能性があります。
なお、民事の責任追及の場合(慰謝料請求、発信者情報開示ともに)にも、ハンドルネームと個人の結びつきが問題になると思います。
②①が成立する場合でもしない場合でも、謝罪(内々+Xさんのアカウント上で)と投稿の削除の要請が可能か
刑事責任は問えない場合でも、民事責任追及できる場合はあります(保護法益が前者は外部的名誉なのに対して後者は名誉感情であるため)。ですが、今回のケースで、ハンドルネームと個人の結びつきが否定されてしまった場合には、発信者情報開示も厳しいと思います。
そうなると、Xに任意の削除依頼をすることになりますが、Xの削除基準はかなり高めな印象があり、削除してもらえないことがままあります。
また、投稿者本人へ任意での削除依頼もあり得ますが、現状は拒否しているとのことから、難しいです。
ちなみに、本人は、その投稿を、ご質問者様について書いたものであることを認めているのであれば、それをスクリーンショットした方がよいです。
そうすれば、上記で述べたような、ハンドルネームと個人の結びつきをクリアできる可能性が格段に上がります。
発信者情報開示請求などは手続き関係が難しいので弁護士に依頼されることをおすすめしますが、個人でなされる場合には、神田先生という方のホームページをご参考にしてみてください。
また、プロバイダに対してIPアドレスのログの開示を併せて求めていくことになりますが、ログには保存期限が(数ヶ月)ありますので、ご対応される場合には速やかに行なってくださいね。
投稿者に対して、責任追及を行うためには、投稿者を特定せねばなりませんので、開示請求を行うことになると存じます。
開示請求が認められるには、主に「A」がご相談者様のことを指し(同定可能性)、権利を侵害していると認められる必要があります。
「A」というハンドルネームを用いてSNSで活動しており、コミュニティ内でもハンドルネームが通っているのであれば、「A」についてご相談者様との同定可能性があると判断される可能性はあると考えられます。
また、「A(私)から暴言を言われた」「Aから人格否定を受けた」という投稿内容が、事実と異なる場合には、当該投稿内容により、ご相談者様が暴言や人格否定をする人という印象を与えるものであるため、名誉毀損に該当すると思料いたします。
もっとも、前提として、開示対象となる投稿について、投稿内容と共にURLの表示が必要になりますので、ご承知おきください。
開示請求等については、進め方など専門的な部分がありますので、一度弁護士にご相談いただくのがよいかと思われます。