複雑な面倒な案件です。

父が亡くなり相続分割しないまま母もなくなりまた相続分割が発生しました。相続人はわたしと兄です。しかしながら父が亡くなるよりも前に兄が一切の連絡を無視しています。数次相続が発生していると考えられますが遺産分割調停を1回で済ませることはできますか?それとも父の分と母の分別々に行いますか?お金がないので自分で調停を立てようと思うのですがこの場合だと難しいでしょうか? 兄が無視している理由は関わりなくない、もしくは嫌がらせだと思います。兄は両親ともの葬儀には来ていません。兄の現住所はプロにお願いして探してもらおうと思います。

父の分は土地、建物、預貯金 
母の分は預貯金のみです

数次相続が発生している場合でも遺産分割調停手続きを一つの手続きで行うことは可能です。ただし、件数としては、父の遺産分割調停、母の遺産分割調停として2件分としてカウントされます。

裁判所が遺産分割に関してホームページで案内している必要書類を参照し、揃えることで、弁護士を代理人に立てずとも調停手続きを行うこと自体は可能と思います。

兄の現住所の確認については、弁護士等専門職の場合、具体的な事件の依頼を前提とせず、住所調査を行い、その結果を依頼者に伝えることは許されていませんので(弁護士照会や職務上請求の目的外利用となります)、そこは注意が必要かと思います。たとえば、弁護士に現住所の調査を依頼する場合、遺産分割の交渉ないし調停をその前提として依頼する必要があります。

数次相続が発生している場合、被相続人が複数人であることから、それぞれの被相続人についての遺産分割調停を申し立てることになります。
したがって、本件では、お父様とお母様それぞれの遺産分割調停申立書を作成し、家庭裁判所に提出するのが原則です。

ただし、相続人が共通する場合は、実務上、複数の調停を1通の申立書でまとめて申し立てることも可能です。
裁判所のホームページに掲載されている書式は、被相続人が1名であることを前提としているため、その場合には任意の書式を用いる必要があります。

遺産分割調停は、ご自身で手続きを進めることも可能ですが、遺産に土地や建物などの不動産が含まれる場合には、不動産の登記実務を踏まえた調停調書を作成する必要があり、数次相続の場合は特に注意が必要です。

また、お兄様が出頭しない場合は、調停を進めることが出来ませんので、審判(裁判所が内容を決定する手続)に移行する可能性があります。

ただし、その場合でも、お兄様に対して審判書を送達する必要があるため、住所が不明な場合は、職務上請求などの方法で調査する必要があります。
なお、職務上請求とは、弁護士が正式に事件を受任している場合に限り、事件処理に必要な住民票や戸籍等の情報を入手することが可能とされている手続きです。
単なる調査依頼ではこの制度を利用できない点にご留意ください。

以上を踏まえると、ご自身で遺産分割調停を申し立てること可能ですが、不動産登記や所在調査の点を考慮すると、弁護士に依頼することが好ましい事案かと思われます。

数次相続が発生していると考えられますが遺産分割調停を1回で済ませることはできますか?それとも父の分と母の分別々に行いますか?
  父と母の遺産分割を合わせて1回ですることはできます。

お金がないので自分で調停を立てようと思うのですがこの場合だと難しいでしょうか? 兄が無視している理由は関わりなくない、もしくは嫌がらせだと思います。兄は両親ともの葬儀には来ていません。兄の現住所はプロにお願いして探してもらおうと思います。
 弁護士に遺産分割を依頼せず兄の住所だけ調べてもらうことは難しいです。
 お金がないということですが、遺産はあるので、遺産分割が終わったら弁護士費用を
支払うという内容でも受任してもらえる可能性はあると思います。
 弁護士にメール等でそのようなことが可能か問い合わせしてみたらよいと思います。

お金がないので自分で調停を立てようと思うのですがこの場合だと難しいでしょうか?
→質問者さんの能力次第です。遺産があるようでしたら、着手金を低めに抑えて、終了時に遺産で弁護士報酬を支払うというのでもいいかも知れません。

※兄の住民票上の住所の調査は、自分で戸籍謄本をとって戸籍の附票をとりよせれば済む話です。住民票上の住所は分かっているがそこに住んでおらず、実際済んでいる場所が分からないというのであれば、不在者の財産管理人をたてて、その方と分割協議をします。