2次下請業作業員の薬傷災害と注文者の安全配慮義務について

①6/17 ②甲事業所内 ③甲:自社 乙:関係会社(元請) 丙:1次下請け 丁:2次下請け
(概要)
 甲が乙に発注した化学薬品反応槽の架台工事において、乙は当該工事を1次下請の丙に、さらに丙は、
 2次下請けの丁に依頼しました。工事当日、乙の2次下請けの会社丁の作業員が配管から漏れた
 化学薬品によって薬傷災害を受けました。
 この場合、2次下請会社丁の作業員の災害に対して注文者甲は安全配慮義務違反に問われますか?

2次下請の負傷した従業員から請求が起こされる可能性はゼロではありませんが、貴社が現場で指示を出していたというような事情がないならば、結論としては注文者である貴社に対しては、安全配慮義務違反はないということになるのではないかと考えます。
安全配慮義務違反とは、要は落ち度があるか、という話です。法律的にはこれを過失や注意義務違反という言葉で表現しますが、過失が認められるためには①起きた危険(薬傷災害)に対する具体的な予見可能性、②結果回避可能性(何らかのアクションを起こせば危険を避けることができたのにそれをしなかったか)、③期待可能性(そのようなアクションを起こすことが期待できたか)という要素が揃って居なければいけません。
しかし、委託をして現場にいないなら現場での作業は基本的に請負業者側の領分ですので、①があったとしても②ないし③はない、ということになるのではないかと思います。

ただし、労働安全衛生法3条3項には、「建設工事の注文者その他の仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、作業方法、工期、納期等について、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない。」という規定があり、これに反する場合には安全配慮義務違反になってしまうかも知れませんので、ご注意下さい。

いずれにせよより詳細には、掲示板ではなく、直接弁護士にご相談されると良いでしょう。