勤務中に1本ビールを飲んでしまいました。

懲戒解雇と処分が下りました。
内容としてはノルマ等を数ヶ月達成し、自分の気持ちが高揚してしまい、ビールを1本飲んでしまった結果です。
今まで処分をもらったこともありませんし、刑事罰をもらっているわけでもございません。
応対業務でばございますがタクシーに乗って現場に向かっており飲酒運転等をしているわけでもございません。

解雇が有効とされるためには、問題の行為が就業規則上の懲戒事由に該当する必要があります。
就業規則の定めは会社によって異なりますが、多くの場合、例えば「会社の秩序や風紀を乱す行為」といった包括的な定めがあるため、勤務中の飲酒は、形式的には懲戒事由に該当するものと思われます。

次に、形式的に懲戒事由に該当したとしても、解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められなければ、懲戒解雇は無効となります(労働契約法15条)。
この要件は、問題の行為の内容・性質、それが会社に与えた影響、処分歴等に照らして、当該従業員との労働契約を終了させなければ会社の秩序を維持できないような場合に認められます。

今回は、勤務中にビールを1本だけ飲んだというものであり、確かに適切な行為ではありませんが、飲酒運転をした訳でもなく、また、飲酒が原因で重大なミスをして会社に著しい損害を及ぼしたといった事情もないようにお見受けします。
また、これまでに処分歴もないとのことですので、懲戒処分が相当であるとしても、いきなり解雇ではなく、けん責、戒告、出勤停止あるいは減給といったより軽微な懲戒処分が選択されるべき事案かと思います。

したがって、今回の懲戒解雇は、お聞きした限りでは無効と思われます。

まずは、会社に対して「解雇理由証明書」(労働基準法22条)を発行するように求め、解雇を争う前提として、具体的な解雇理由を確認することをお勧めします。

一般的に、業務中の飲酒は懲戒事由に該当するものと考えられますが、懲戒解雇処分を受けることは、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上の相当性がないと判断される可能性があります。
もっとも、懲戒処分の理由が定かでありませんので、懲戒処分通知書などから懲戒解雇が下される理由を確認した上で、懲戒解雇の有効性を争う必要があるものと考えられます。

懲戒処分の有効性の判断は、事実関係の確認が非常に重要になりますので、弁護士にご相談いただくのがよいと思われます。