᙭社から開示されるIPは最も古くて何ヶ月前のものですか
X社から法的書面の受領メールを受信した場合、相手方には最も古くて何ヶ月前のIPが開示されているのでしょうか。受信時点で投稿日から3ヶ月以上がたっている場合でも、相手方には投稿日前後のIPが開示されるのでしょうか。᙭社のログ保有期間は3ヶ月だと聞いたことがありますが、それだと投稿時点のIPは残っていないはずですから、その場合は相手方にはメール受信時点から3ヶ月前頃のIPが開示されるということですか。別のサイトでは、仮処分から60日前までのIPが開示されるという記述も見ましたが実際のところどういうケースが多いですか。
現行法のもとでは、「権利侵害投稿がなされた日時から前後を問わず最も時間的に近接しているログイン通信のIPアドレスとタイムスタンプ」が開示の対象となります。そのため、投稿から3か月前のログインの場合もあれば1週間後の場合、それより前(又は後)の場合もあります。
Xを含むSNSの場合、同じコンピューター(PCやスマホ)からの接続の場合は一定期間は認証情報が保存され、ログインを省略しており、頻繁にログイン履歴が残されているわけではありません。令和3年のプロバイダ責任制限法改正前は過去6か月から1年程度のログイン履歴が全て開示されていたようですが、現行法のもとでは「相当の関連性を有する」ログイン通信に限定され、最高裁判例により基本的に直近の通信が開示の対象になる、という解釈が採られています。
川添先生
ご回答ありがとうございます。
「最も近接しているログイン通信」ということは、開示されるIPは一つのみということでしょうか。そして、仮に投稿から3ヶ月後のIPが開示された場合、ブロバイダへ開示請求を行って開示される可能性はどれぐらいありますか?
また、同じスマホから接続の場合は一定期間は認証情報が保持されログインが省略されているということですが、᙭の場合、接続プロバイダが切り替わったタイミング(例えば携帯会社から別のWi-Fiへ)でログイン履歴が残ったりはしないのでしょうか。᙭の設定画面から「アカウントアクセス履歴」でログイン履歴を確認すると、2日に一度ぐらいのペースで履歴がついていますが、᙭で保持されているログイン履歴はこれとは別なのでしょうか。
最高裁判例は、基本的に最近接通信が開示の対象となり、「それ以外のログイン通信は、あえて当該ログイン通信に係る情報の開示を求める必要性を基礎付ける事情があるときにこれに当たり得る」と判示しています。つまり、発信者情報開示請求の対象となる通信は1個に限られないものの、「必要性を基礎付ける事情」がないときは最近接通信(1個)のみが開示されることになり、実際に、現行法のもとでX社代理人から開示されるのは1個のみです。
どのようなタイミングでログイン通信が記録されているかは、SNS各社のシステムの仕様の問題であり、営業上の秘密にも属する内容なので、確実な回答は得られないと思われます。
川添先生
詳細なご回答ありがとうございました。🙇