少額訴訟について教えてください
少額訴訟についてお聞きします。
①少額訴訟に対して相手が通常訴訟を希望した場合は無意味ということになりますか?
②通常訴訟に移行したら、少額訴訟の内容や証拠はそのまま使用されますか?
また一から準備しなければいけないのでしょうか?
③相手が他県で少額訴訟はわたしの住んでいるところで起こした場合、通常訴訟も同じ場所で行われますか?
④少額訴訟の内容を見て、相手方が通常訴訟を希望した場合、少額訴訟内で和解を進めることはありますか?
①についてなのですが、通常訴訟を希望してきた場合は、少額訴訟では判決など何もせずそのまま移行ですか?
①被告が通常訴訟への移行を申述した場合、当然に通常訴訟の手続になります。「無意味」かどうかは評価の問題ですが、相手方が請求を争ってくる可能性が高い事案では、最初から通常訴訟を提起した方がよいかもしれません。
②手続が通常訴訟へ移行するだけで、事件番号や事件符号(少コ)は変わりません。少額訴訟の手続において提出した書面や書証などの再提出も不要です。訴訟自体は変わらないため、通常移行への決定といった手続もありません。実務では、通常移行後も、使用する法廷は少額訴訟で使用しているラウンドテーブル法廷がそのまま使われることが多いようです。
③②のとおり、訴訟の手続自体は変わりませんので、審理が行われる裁判所も同じです。もちろん、被告からの移送申立てはあり得ます。
④上記のとおり、通常訴訟への移行を申述した時点で当然に通常訴訟の手続になりますので、「少額訴訟内で和解を進める」ことはあり得ません。ただ、少額訴訟であろうが通常訴訟であろうが、裁判所が和解相当と判断したり当事者が和解を希望すれば、和解協議が行われます。
移送申立てを拒否することは可能ですか?
移送申立てがなされた場合、被告が主張する移送要件を満たすかどうかの問題になります。あなたが争うことはできますが、拒否すれば当然に移送申立てが却下されるわけではありません。
なお、一般論としては、少額訴訟の対象になるような金銭請求は、民事訴訟法5条1号により原告住所地にも管轄が認められていることが多いでしょう。例えば,原告住所地に管轄がある事案で、原告住所地の簡易裁判所へ提起した訴訟について被告が被告住所地の簡易裁判所への移送申立てをした場合には、民事訴訟法17条に規定する「当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」に該当することを主張する必要があると思われます(17条移送の問題)。本来的に原告住所地にも管轄がある以上、安易に移送が認められるわけではありません。
とてもわかりやすく説明していただきありがとうございました。
感謝いたします。