芸能事務所との契約解除時の違約金支払い義務について
昨年に芸能事務所と契約しました。2年契約です。
実際に契約の話になると月2万のレッスン代がかかると言われ、インターネットサイト経由でのスカウトでその際レッスン代を請求されないという規約があったためそのことを告げると「レッスンを受けないという選択はできるが、レッスンを受けていない場合実力を判断できる機会が無いため仕事を振れない」というような回答をされました。
その後契約をしたのですが、現在になっても事務所のサイトに名前や写真が載らなかったり仕事の制限をされるばかりで仕事を満足に振ってもらえません。最後に仕事の案件のメールが来たのは2月です。その際の案件も報酬の記載はありませんでした。また、月4回行われるレッスンはレベルが低く勉強になりません。レッスンを休止した場合契約期間が延長されるらしく、レッスンを受けずに契約満了まで待つといったことも出来ません。
以上の点から退所したいと考えているのですが、契約期間内に辞める場合の違約金が受ける予定であったレッスン代と契約期間1日につき数百円かかると契約書に書かれていました。ですが事務所のマネージャーとは契約してから一度しか話したことがない上ウェブサイトなど未記載などから充分なマネジメントをされているとは感じません。これはマネジメントを行うという契約に反していると考えるのですが、違約金を払う必要はあるのでしょうか。
近時、芸能事務所とタレント•芸能人との契約関係を雇用契約と扱い、労働基準法を適用して、以下のような解決をする裁判例が出て来ています。
① 一年を超える契約期間の定めのある労働契約につき、労働者は、労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができるという労働基準法第137条の規定を適用して、タレントの退所を認める
② 労働基準法第16条を適用し、退職時の違約金の定めを無効とする
ただし、事案によっては、芸能事務所とタレント等との契約関係を雇用契約とは認めない裁判例もありますので、より詳しくは、契約書を持参の上、弁護士に直接相談してみて下さい。
【参考】労働基準法
(この法律違反の契約)
第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
(契約期間等)
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
第百三十七条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。