借地に建つ老朽化した家屋の解体と借地権の今後について相談したい

100年近く借地に持ち家が建っています。
地主様との契約書は存在していません。
両親から相続した物で現在、私共は住んでおらず、建物の一部(1/9ほど)を今も事務所として人に貸しています。
木造家屋なので老朽化が酷く、近年、解体すべき状態だと判断しています。
しかし、借主は健康上の問題があり、あと僅かしか働けないので、このまま居させてほしいと一点張りです。この方と私共はとても良好な関係で、自分に何かあっても責任は問わないから心配いらないよ、と言われますが、そんな訳にはいきません。
身の安全の為に一刻も早く退去いただき、当然、移動のお手伝いも全力でさせて頂きますし、私共が提案する場所か、借主の希望の場所へ移って頂き、解体の手筈を早急に整えなければいけないと思っています。
しかし、この土地は借地である事から、その後、更地にして土地をお返しするのか、または許可を頂いて新築させて頂く事は可能なのか、そして、どんな場合に借地権はどうなっていくのか、我々も今後を考えるには、まだ至っていません。地主様と私共、私共と借主がどういう法律のもと、何ができるのか、どうするべきなのかお教え頂きたく投稿させて頂きました。何卒宜しくお願い申し上げます。

具体的な事実関係が不明ですので、一般論での回答となりますことをご承知おきください。

①地主とご相談者様の関係
地主との関係においては、建替えに関するお話合いを行い、建て替えることについての承諾(書面で頂くのがよいと思われます。)を得て、場合によっては契約を再度締結することが考えられます。

100年近く借地に持家が建っているとなりますと、旧借地法に基づく借地権が成立しているものと考えられます。
木造家屋ですと、当初の借地契約期間が30年で、その後は20年ずつ更新がされているものとうかがわれます。
建物を解体しての建替えは、旧借地法7条の「滅失」に当たると考えられているため、地主から建替えについて「異議」が述べられる可能性があります。
もっとも、地主から「異議」が述べられた場合であっても、建替えを行うこと自体は可能ですのが、地主との関係性が悪化してしまうおそれがあるため、事前に建替えのお話をされるのがよいかもしれません。
また、旧借地法という古い法律が適用されていること、仮に契約条件が不明確である場合には、地主との間で契約を再度取り交わす方法も考えられます。

②借主とご相談者様の関係
借主に対して賃貸借契約の合意解約の交渉(立退料の提示など)を行いつつ、合意解約に応じない場合には、解約申し入れを行うことになると考えられます。

当事者間での合意による解約と法律に基づく解約の2パターンを取ることが考えられます。
まず、法律に基づく解約について、いつ貸したかにより旧借家法と現行の借地借家法の適用が異なりますが、考え方は基本的に同じになります。
借主との間の賃貸借契約書が手元にあり、契約期間満了日が分かれば、期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知を行います。
また、契約期間満了日が分からない場合には、6か月経過した時点で解約する旨の通知を行うことになります。
もっとも、貸主側からの解約が有効と判断されるためには、貸主側の事情と借主側の事情を考慮して、貸主側の事情から解約することに正当な事由が認められなければなりません。

次に、当事者間の合意による解約ですが、借主に一定の金員(立退料)を支払うので退去してほしいという交渉をすることが考えられます。

本件については、事実関係などが非常に重要になりますので、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

前提の確認

・土地所有者
 100年以上という事になると相続が発生しているはずですので、現在の所有者を確認する必要があります。地主だと思っていた人が無権利者であったり、十分な持分を有していない可能性があります。

・特約の有無
 借地上の建物を貸すことは、土地の転貸にはあたらないと解されますが、建物賃貸を禁止する特約や、居住用以外に用いること(事務所)を禁止する特約がされているケースがあります。そのような特約があった場合、当該特約の有効性を吟味する必要が生じます。

・方針
 上記で確認をした土地所有者(場合によっては複数名)に対して、再築に関する打診をすることが考えられます。ただ、一般論としていえば、土地の有効利用になっておらず、地代も現在の貨幣価値に見合っていないことから、拒否される可能性は高いと考えられます(集合住宅を建てた方が得)。
 建物借主に関してですが、いずれにせよ早期に退去を求めるべきでしょう。
 修繕義務の問題や、 倒壊した場合の責任・後処理の問題があります。