金銭受取の長期交際口約束は法的契約になるのか?
現在、私自身が精神的に非常に追い詰められており、ご相談をお願いしたく書き込みいたしました。
私は20代の女性で、現在大学生です。数年前から、いわゆる「パパ活」と呼ばれるような関係を一人の男性(以下「Aさん」)と続けていました。Aさんは既婚者で、会社経営者です。
Aさんからは、「恋人のような関係を数年間継続すること」を前提に、毎月お金をいただいており、金額は月20〜30万円ほどでした。振込は基本的に「給与」や「お小遣い」などの名目で行われており、口約束以外に正式な契約書などは交わしていませんでした。
また、交際中には韓国旅行や買い物等の費用もカードで立て替えてもらっていたことがあります。
関係の初期に「3年半会い続ける」といったLINE上のやりとりで承諾をしてしまったように記憶しています(当時のLINEは私は削除済みで、Aさん側に履歴があります)。
しかし、心身ともに疲れ果て、今年に入り関係を終了したい旨を伝えたところ、Aさんから以下のような主張・圧力を受けるようになりました:
「約束を破ったのだから、金銭を返還すべき」
「3年半の交際を口にしたのだから、途中でやめたのは契約違反」
「振込記録もカードの履歴もあるから、訴えることが可能」
「返金しないなら、弁護士を通して回収手続きを取る」
「私には弁護士・税理士の知人がいるので対応は可能」
さらに、受け取った金銭は**「贈与ではなく債権」として請求されるかもしれない**とも言われました。
私は最初は誠実に交際を続けるつもりでしたが、精神的に耐えられなくなってしまったのが理由であり、だまそうとした意図は一切ありません。また、関係の中で私から一方的に金銭を要求したことや、虚偽の説明をしてお金を受け取ったこともありません。
ただ、相手が「訴える」「内容証明を送る」などの発言を繰り返しており、本当に裁判になるのではないか、あるいは法的に返金しなければならないのではないかと不安で、日常生活にも支障が出ています。
以下の点についてご助言をいただけないでしょうか。
1.こうした口約束の「長期交際の約束」が法的な契約として有効になる可能性
2.贈与として支払われた金銭について返還義務が発生する可能性
3.実際に訴えられた場合、どのような対応が必要か
4.今後のやりとりを中止し、法的な窓口を先生にお願いできる可能性
・大まかなことを言えば、不貞関係継続の約束は公序良俗に反し無効(民90)、対価として支払われた金銭は「不法原因給付」(民708)となり、あなたは金銭の返還義務を免れるということになりそうです。
・ただし、訴訟構造を考えると、(A)男性において「貸付」合意の主張立証に成功すれば、(B)それに対して不法原因給付性を主張立証するのはあなたの責任になると思われるため、
(A)当時の経緯・やり取りから「貸付」ではなく「贈与」であることをどこまで反証できるか、(B)仮に貸付であるとしてもそれは不貞関係継続との対価性があることをどこまで立証できるか、
という点が課題であり、LINE履歴を削除済みであるとのことですから、現時点で立証材料が手元にないのでは?ということが少し気になりました。
・実際に訴えられた場合はこういった証拠を整理する、あるいは探す、相手の手元にあるのなら出させる、といった活動を通じて反論を組み立てていくことになります。
・弁護士に委任することも一案ですが、男性に実際に法的対応を取る気があるかは微妙であり、費用の点が気になります。
ワンオネスト法律事務所の弁護士の吉岡一誠と申します。
相談者様としては、贈与されたものであるとして金銭の返還を拒否できる可能性が高いでしょうし、食事やデートだけでなく性的関係を持つことも契約内容に含まれていたのであれば、公序良俗違反の無効な契約であるとして金銭の返還を拒否することもできるでしょうから、仮に相手方が感情的になって濫訴的に裁判を起こしてきたとしても、あまり心配はなさらなくて良いように思います(ただし裁判は出頭もせず何らの反論書面も提出せずにいると相手方の言い分が認められて判決が下りてしまうおそれがあるため、無視は禁物です)。
なお、相談者様自身で相手方とやり取りをすることが精神的に負担なら、コストはかかるものの、相手方との関係遮断を図るために、弁護士に依頼の上、相手方に対して今後相談者様に連絡接触しないよう警告をしてもらうのも一つでしょう。