自白すれば罰金で済む事件で、長期勾留や失職を覚悟で無罪主張を続けるのは、真犯人なら不合理な行動では?

世の中には、何かの刑事事件を起こして逮捕される人がいます。

そういう事件の中には、本人が罪を認めさえすれば、簡易裁判所からの略式命令が出て、罰金を支払えば、すぐに釈放される事件もあります。
(例:比較的軽微な痴漢事件など)

しかし、そういう事件の中でも、一貫して
「私は犯人ではない!」
と無実を主張し続けて、その結果、長期間にわたり勾留され続け、何年間も裁判で争い続ける人もいます。

ところが、そのような事件であっても、日本の刑事裁判においては、高確率で有罪が下されているのが実情です。

ですが、そもそも、その人が本当に真犯人であったのなら、「本人が罪を認めさえすれば、罰金を支払って、すぐにでも釈放される事件」で、長期間をわたり勾留され続けてまでして無実を主張するメリットなんて存在するのですか?

逮捕され長期間にわたって勾留され続けると、職を失うだけではなく、自分の家庭や周囲のあらゆる人間関係が崩壊に至ってしまう危険性があります。
また、長期間にわたって捜査機関からの激しい自白強要を受け続けることになります。
裁判にかかる費用だって、多額の負担を負うことになってしまいます。

なので、その人が本当に真犯人であったのなら、そのような多大なリスクを背負ってまでして、「罪を認めさえすれば、罰金を支払って、すぐにでも釈放される事件」で、嘘をついて無実を主張し続ける意味など、存在しないのではないですか?

仮に、その人が本当は真犯人であったとするなら、その人は周囲の人には、
「私は本当はやっていないけど、無罪を主張すると長期間にわたって勾留されて裁判に何年間もかかってしまい、職も失ってしまうから、しかたなく嘘の自白をして釈放してもらったのだ。」
とでも吹聴していたほうが、本人にとっては、よっぽど合理的な行動なのではないでしょうか。

したがって、「罪を認めさえすれば、罰金を支払って、すぐにでも釈放される事件」で、職を失うリスクや家庭崩壊を招く覚悟で、長期間にわたり勾留され続けて、また長期間にわたる捜査機関からの激しい自白強要を受け続けてまでして無実を主張しているという事は、その事実自体が、「その人は本当は無実である可能性が濃厚」である事を、強く示しているのではないですか?

しかし裁判所は、そのような発想には、一切、至っておりません。
そのようなケースでも、裁判所は、高確率で有罪を下します。

このような事実は、裁判所が、人間の心理に関して、あまりに無理解であるという重大な欠陥を抱えている事を、如実に示していると思うのですが、どう思われますか?

法律の世界では、ある事実の存否が問題になるとき,証拠により事実の存否を決することを事実認定といいます。
この事実認定を前提に裁判によって法律の適用が行われます。
そして、事実認定の裏づけとなるのは原則として証拠のみです。

一部の例外を除き、刑事裁判手続では、すべて検察官が立証責任を負います。
したがって、被告人は自分が無罪であることを証明する必要がありません(推定無罪)。
極論を申し上げれば、検察官の証明が不十分であった場合、仮に被告人が真犯人であっても有罪にはならないという立て付けになります。

そして、必要な証明の程度については、犯罪があったということ、被告人が犯人であることに関しては、「合理的疑いを入れる余地がない程度の証明」が必要であると解されています。

したがって、刑事裁判の手続は証拠のみによって厳格に判断されており、相談者さんが記載されている「事実上の推認」は考慮されない(排除される)という立て付けとなります。

上記、ご参考ください。

ご回答ありがとうございます。

<刑事裁判の手続は証拠のみによって厳格に判断されており、相談者さんが記載されている「事実上の推認」は考慮されない(排除される)という立て付けとなります。>

とのことなのですね。

しかし、これは、現代日本の刑事裁判の重大な欠陥といえるのではないですか?

健全な人間心理に基づいて考えれば、被告人が本当に真犯人であったのならば、「本人が罪を認めさえすれば、罰金を支払って、すぐにでも釈放される事件」で、長期間をわたり勾留され続け、失職や家庭崩壊のリスクを冒すしてまでして無実を主張するメリットなんて、存在するわけないでしょう。

その点を完全に無視している現代日本の刑事裁判は、かなり非科学的な仕組みとなっていると思いますよ。

それについては、どう思われますか?

本質問で挙げたような事案であっても、裁判所は高確率で有罪判決を下している実情を鑑みると、現代日本の裁判所は、有罪・無罪を「厳格に判断」しているようには全く思えません。

刑事訴訟法第317条は「事実の認定は、証拠による」と規定しており、日本の刑事法制は証拠裁判主義を取ることが明記されています。

上記、ご参考ください。

ご返信ありがとうございます。

それでは、そのような、人間の心理学的・行動科学的知見を全く無視しているという重大欠陥を抱えている日本の刑事法制は、大きく作り直す大改造の必要に迫られていると思います。

ご回答ありがとうございました。