履歴詐称を理由に幹部社員を解雇することは可能か?
私はベンチャー企業人事部の立場です。
社長の指示で
解雇をしたい社員がいます。
年収1500万円の
中途採用の幹部の方ですが、
社長との折り合いが悪くなり、
社長指示で解雇にできないのか?と。
そこで、
解雇理由を探していたところ、
その中途採用者の履歴書の経歴詐称が
見つかり
採用の決め手となった有名企業の在籍期間を
5年も長く書いていました。
これを理由に解雇は出来ますでしょうか?
今回
その経歴詐称を理由に解雇にできないのかと考えております。
(前に、その中途採用者が、
"実は履歴書の経歴をまとめて書いてしまって"
という話を飲み会でしたことがあったそうで、今回、それを理由にできないのかと検討です。)
履歴書での前職の有名メーカーに8年在籍も
3社を合算しての8年で、
前職は業務委託3年で、
前前職のその有名メーカ3年で、
前前前職が別の中小メーカー2年です。
【質問1】
この場合、解雇にできますか?
履歴書が、証拠になりますでしょうか?
前職企業へ、ヒアリングをしたりして言質をとり、証拠記録を残さないといけないですか?
【質問2】
そもそも、こんな理由では解雇は無理ですか?不当解雇でしょうか?
"その前職があったからこそ、採用をした!"という立て付けにしようと思いますが。
主観的な意見で結構ですので
アドバイスをよろしくお願いします。
職歴詐称は「重大な経歴詐称」として懲戒解雇もあり得る類型ですが、有名企業での在籍期間を5年長く書いていた、というだけでは心許なく感じます。重要な詐称であれば秘匿したくもなるはずで、飲み会で話す程度のポイントなのか?とも見受けます。(3年ではない)8年の在籍期間がどのような業務経験を裏付けるもので、そういった業務経験を評価して1500万円の年俸提示をした、という点まで踏み込んで整理が必要と考えます。
なお、職歴詐称による諭旨解雇、懲戒解雇を認めた裁判例でも、業務経験に着目した判断となっています(溶接の熟練工募集に対して、過去一貫して溶接作業に従事していた旨を詐称していたことによる諭旨解雇(有効)-横浜地川崎支判S59.3.30、プログラミング業務への従事経験につき詐称していたことによる懲戒解雇(有効)-東京地判H16.12.17)。
職歴については、日本年金機構から発行される被保険者記録照会回答票の提出を求めれば明らかになります。ご参考になれば幸いです。