賃貸マンションの一方的な更新拒絶と退去要求への対応について
現在、普通借家契約で賃貸中のマンションにおいて、貸主より一方的に契約更新を拒絶され、退去を求められています。
その理由として、貸主の高齢親族(93歳)が住むための「自己使用」を挙げられていますが、当該親族はすでに都内に持ち家(戸建て住宅)を所有しており、経済的に切迫した事情も確認されていません。また、施設入居などの選択肢も検討されていない状況です。したがって、正当事由としての緊急性・必要性は乏しいと考えています。
なお、私たちはこの物件に7年間居住しており、その間、近隣からの苦情やトラブルは一切なく、貸主から注意や是正を求められたこともありません。安定した生活実態を築いてきた自負があります。
さらに、退去費用については「一切負担しない」と通告されています。
こうした対応に応じかねる旨を伝えたところ、今度は、これまで文書で飼育許可を得ていた犬について「3ヶ月以内に処分するように」と一方的な要求がありました。
加えて、勤務先宛にの同様の契約更新拒絶の通知や、事実と異なる記載を含む書面が送付されるなど、嫌がらせとも取れる行為が繰り返されています。
このような状況が継続しており、威圧的な言動や精神的なストレスにより、日常生活や子育てへの影響も深刻です。
小学生の子どももおり、現住居からの転居はできる限り避けたいと考えています。仮に退去せざるを得ない場合でも、生活再建のための退去費用を請求したいと考えています。
以上の状況を踏まえ、以下の点についてご助言をいただければ幸いです。
・貸主側に正当事由があると言えるのか
・契約更新拒絶および退去要求への対応方法
・犬の飼育に関する「処分要求」の適法性
・精神的嫌がらせや社会的信用毀損への対処方法
・退去費用の交渉余地について
・契約更新に応じずとも、引き続き居住を継続しても法的に問題がないかどうか
よろしくお願いいたします。
「貸主の高齢親族(93歳)が住むための「自己使用」を挙げられていますが、当該親族はすでに都内に持ち家(戸建て住宅)を所有しており、経済的に切迫した事情も確認されていません。また、施設入居などの選択肢も検討されていない状況です。したがって、正当事由としての緊急性・必要性は乏しいと考えています。」
→おっしゃるとおり、当該親族が都内に持ち家を持っているのであれば、正当事由として弱いと思います。
その上、退去費用(立退き料)を提供しないのであれば、正当事由が認められる可能性は低いでしょう。
「今度は、これまで文書で飼育許可を得ていた犬について「3ヶ月以内に処分するように」と一方的な要求がありました。」
→文書で飼育許可を得ていたのであれば、一方的な許可の撤回はできませんので、処分する必要はありません。
「契約更新に応じずとも、引き続き居住を継続しても法的に問題がないかどうか」
→正当事由は認められない可能性が高いと思いますので、法定更新で引き続き居住を継続して良い事案だろうと思います。
一度面談の上で正式に弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
秋山先生
ご丁寧なご回答をいただき、誠にありがとうございました。
可能でしたら、下記の点についても教えていただけますと幸いです。
・家族への精神的・経済的負担を考えると、できる限り調停や裁判などの法的手続きには持ち込みたくありません。このような場合、示談や話し合いによって解決することは現実的に可能でしょうか。
・万が一、貸主側が調停を申し立てた場合でも、こちらが応じずにいれば、住み続けることはできるのでしょうか。(裁判等で強制的に立ち退かされる可能性があるかどうかについても懸念しております)
・まずは契約更新拒絶に応じられない旨を、内容証明郵便にて貸主へ送付したいと考えています。その際、自分たちで送っても問題ないでしょうか。弁護士の先生を通じて送付した方が、今後の交渉や対応において有利になりますでしょうか。
できる限り穏便な解決を望んでおります。お忙しいところ恐縮ですが、ご助言をいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
「・家族への精神的・経済的負担を考えると、できる限り調停や裁判などの法的手続きには持ち込みたくありません。このような場合、示談や話し合いによって解決することは現実的に可能でしょうか。」
→弁護士から賃貸人側に正当事由がないことを通知すれば、通常、賃貸人側も弁護士に相談するでしょう。そうなれば、賃貸人側も、正当事由の面で弱いことを認識するはずで、そうなると、調停や裁判まで起こしてこない可能性の方が高いと思います。私の経験上も、このような正当事由の弱いケースで、賃借人側で代理人について賃貸人に正当事由が認められないと通知すれば、賃貸人側は退去要求を諦める場合が多いです。
「・万が一、貸主側が調停を申し立てた場合でも、こちらが応じずにいれば、住み続けることはできるのでしょうか。(裁判等で強制的に立ち退かされる可能性があるかどうかについても懸念しております)」
→正当事由が弱いですので、退去を拒否して住み続けることができる可能性が高いと思います。
「・まずは契約更新拒絶に応じられない旨を、内容証明郵便にて貸主へ送付したいと考えています。その際、自分たちで送っても問題ないでしょうか。弁護士の先生を通じて送付した方が、今後の交渉や対応において有利になりますでしょうか。」
→代理人弁護士から通知した方が効果があると思います。