仮執行宣言の強制執行

【相談の背景】
不貞慰謝料で訴訟を起こされました。200万円の支払い、仮執行の宣言。と書いてありました。

初回の口頭弁論期日は6月半ばです。

【質問1】
仮執行はいつから可能なのでしょうか?

【質問2】
本人名義の車を差し押さえられた場合、すぐに車に乗れなくなるのでしょうか?

【質問3】
口座を差し押さえられた場合、現金の引き出しはできなくなるのでしょうか?10万円くらいしか入っていない場合、残高0になりますか?
また、クレカの引き落としもされなくなるのでしょうか?

【質問1】
仮執行はいつから可能なのでしょうか?
→ 仮執行宣言とは、判決が確定する前に強制執行を可能とする宣言のことを言います。
 民事訴訟法第259条1項に「財産権上の請求に関する判決について…仮執行をすることができることを宣言することができる。」との定めがあるとおり、判決の主文で仮執行宣言が掲げられた場合に仮執行宣言に基づく強制執行が可能となります。
 そのため、あなたとしては、まずは、提起された訴訟にしっかり応戦し、相手方の請求の排斥又減額を目指して行くことが考えられます。
 また、事実関係や証拠関係から、一定の支払義務を負わざるを得ない場合でも、訴訟による紛争の解決の仕方としては、判決のみならず、和解という方法もありますので、有利な和解条件での解決を模索して行くことも考えられます。
 いずれにしましても、これから訴訟が始まる段階であり、直ぐに強制執行されるような状況ではありませんから、まずは落ち着いて、訴状の内容(提出された証拠も含みます)を吟味•精査の上、しっかりと応戦して行くべきでしょう。
 ご自身での対応が難しい場合には、お住まいの地域等の弁護士に相談し、代理人になって訴訟対応してもらうことも検討してみてください。

【参考】民事訴訟法
(仮執行の宣言)
第二百五十九条 財産権上の請求に関する判決については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。
2 (略)
3 裁判所は、申立てにより又は職権で、担保を立てて仮執行を免れることができることを宣言することができる。
4 仮執行の宣言は、判決の主文に掲げなければならない。前項の規定による宣言についても、同様とする。
5 仮執行の宣言の申立てについて裁判をしなかったとき、又は職権で仮執行の宣言をすべき場合においてこれをしなかったときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、補充の決定をする。第三項の申立てについて裁判をしなかったときも、同様とする。
6 第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、第一項から第三項までの担保について準用する。