父が妹夫婦に全財産を遺す遺言状を残している

<家族構成>
私:夫、こども1人(関東)
妹:実父、夫(義理弟)こども2人(地方)

銀行勤務の親族より知ったのですが、父が妹夫婦(妹の夫は婿養子)に全財産を相続する遺言状を残していることを知りました。
この場合、父が亡くなった場合、長女である私には一銭も入ってこないのでしょうか。
今のうちからできることなどありましたら、アドバイスいただきたいです。

背景として、実父は、親の反対を押し切り、結婚して実子(成人)のいる相手と結婚した私を良く思っていないことがあります。

先に結婚して実家を出た妹夫婦が、実家を継ぐために改姓し、実家を建て直すことも、私たち夫婦には知らされず、水面下で行われました。
裏切られたようで、当時はだいぶ落ち込みました。
妹は私が継げない理由は言えないと一点張りで教えてくれませんでした。
父に問いただしても謝ろうともしませんでしたが、2年ほど経ち「申し訳なかった」とやっと言葉がありました。

関係はギクシャクしているものの、年に2,3度は会えており、連絡もとれる状態です。

法的には問題がなかったとしても、娘である私に説明もないのは、納得がいきません。
私のこどもに対して、教育資金でも請求しようかと考えているくらいです。

このようなケースは例があるのかも知りたいです。

民法第902条は「被相続人は、前2条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる」とされており、遺言自由の原則が規定されています。
遺言自由の原則とは、遺言制度とは故人(被相続人)の最終的意思を尊重し確保する為の制度であり、生前自由に処分できた自分の財産を遺言によってどのように処分しようと原則として自由であることを確認する原則です。

他方で、民法第1042条は「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける」としており、
「一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
 二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一」
と規定しています。

遺留分とは、民法によって兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された相続財産の最低限度の割合のことをいいます。
本来、被相続人は自己の財産は遺言等によって、原則自由に処分することができますが、この遺留分制度によって被相続人の処分が一定限度で制限される形になります。

上記を前提に、お父さんの将来の相続手続について検討するに、
(お母さんが既に亡くなられている前提で)その法定相続人は相談者さんと妹さんの二人です。
仮にお父さんが、遺言によって、全相続財産を妹さんに相続させる旨を適式に記載していたとしても、相談者さんは、自己の法定相続分(1/2)の1/2である全相続財産の1/4を遺留分として請求できることになります。

詳細についてお知りになりたければ、最寄りの法律事務所で相談いただくことを検討ください。