組織犯罪処罰法違反で起訴され判決待ちです。判決の見通しについて相談したいです。

はじめまして。
現在、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の罪で起訴され、近日中に判決を迎える予定の者です。
判決日が近づき、不安なため、第三者の弁護士の方のご意見を伺いたく投稿しました。

【プロフィール】
性別:男性
年齢:20代後半
職業:会社員(休職中)

【事件の概要】
・昨年、知人から依頼され、仮想通貨を用いて電子マネーを購入し、その換金処理を手伝いました。
・換金額は2~30万円です。
・立件された前提犯罪となる特殊詐欺の被害額は上記の2~30万円程度、被害者は1名、取引件数も1件限りです。
・取引自体は主導的立場ではなく、主に知人の指示で取引をしていました.
・得られた電子マネーが犯罪収益であることを確定的に認識していたわけではありませんが、怪しいとは感じながら手伝ってしまいました(未必の故意と整理されています)。
・なお、私は知人に依頼されて、ネット上で素性のよく分からない相手との取引に応じたものであり、(知人同様に)直接詐欺行為に関与したり、詐欺グループの一員として行動したわけではありません。

【その他事情】
・特殊詐欺の被害者に、被害額の弁済という形で示談が成立しており、宥恕(処罰感情なし)も得られています。
・保釈中ですが、保釈条件違反等は一切ありません。
・初犯で前科・前歴はありません。
・反省文を提出し、現在も社会復帰に向けた活動(就労など)を継続しています。
・また、警察からの接触で私自身が事件のことについて知る前に、自主的に換金行為を中止しています。
・逮捕後に実名報道もあり、会社から休職扱いとなるなど、一定の社会的制裁も受けています。

【検察官の求刑・論告要旨】
・公判では、検察官から懲役1年(罰金なし)の求刑がなされています。
・論告要旨では、手の込んだスキームによる資金洗浄行為であり、社会的影響も踏まえ相当な処罰が必要である旨が主張されています。
・ただし、個人の従属的立場などについては争われていません。

【ご相談内容】
上記の状況を踏まえた上で、
第三者の弁護士の方から見た場合、どのような判決が言い渡される可能性が高いか、
率直なご意見をいただけるとありがたいです。
足りない情報などがございましたらお気軽にお申し付けください。

よろしくお願いいたします。

裁判所、検察官は特殊詐欺について極めて厳しい対応をしており、被害弁償を全額していても実刑の可能性が高いと受け止めております。しかし、本件は初犯で前科前歴がないことや関与の度合いが低いこと、実名報道など社会的制裁を受けていること以上に示談が成立しており、被害金額も20ないし30万円と多額ではないことから執行猶予付き判決の可能性が高いと思われます。しかし、それ以上に、検察官の論告求刑の中で実刑とか施設内矯正や矯正施設への収容など刑務所を意味する言葉が出ていなければ私の経験でのことですが、執行猶予付き判決だと思っています。逆にそれらの言葉が出ていれば実刑判決の可能性が高いと思います。この点を検察官の論告求刑の書面で確認をお願いいたします。「相当な処罰が必要」との言葉は強いものですが、論告求刑では通常の表現だと思っています。よろしくお願いいたします。

泉義孝様

お世話になっております。
ご丁寧なご回答をいただき、誠にありがとうございました。

改めて、検察官の論告要旨を自分なりに整理し、以下のようにまとめました。
この内容を踏まえ、いくつか追加でご意見を伺えますと幸いです。

【論告要旨まとめ】
・犯罪収益を秘匿性の高い資産に変換することで、追跡や摘発を困難にしている、手の込んだスキームで悪質である。
・犯罪収益は2,30万と相当に高額で、被害弁償はしているが、結果は犯罪収益自体は犯罪組織に帰属したままで、軽視できない。
・被告人は利益を得る目的で換金行為を行い、利欲的動機に酌量の余地なし。
・一般予防の観点から特殊詐欺が絶えない中、マネーロンダリング罪に対しては厳正に対応する必要がある。

【まとめ(小括部分)】
 被告人らの刑事責任は重いとは言わざるを得ない。
 犯行を認め、特殊詐欺の被害者に対して示談・宥恕も成立していることから、この点は有利な情状として考慮される。
 とはいえ、猛省を促し、再犯防止のためにも相応の処罰が必要である。

【お伺いしたいこと】

1️⃣ 上記の論告要旨を踏まえ、改めて第三者目線から判決の見通し(執行猶予の可能性)を検討していただけますでしょうか。

2️⃣ 手口の悪質性(巧妙なスキーム、利欲的動機の非難)や、特殊詐欺関連事件である点を検察は言及していますが、
 通常より処罰が重くなり、実刑になるリスクが高まる可能性があるかについてもご意見を伺いたいです。

3️⃣ 本件は被害額が少額かつ示談・宥恕が成立しているものの、
 私は被害者と直接接点がなく、騙し取ったわけでもありません。
 このような場合でも、示談成立の効果は量刑判断において十分に考慮されるかについても教えていただけると幸いです。

お忙しい中大変恐れ入りますが、
ご確認・ご回答いただけますとありがたく存じます。

何卒よろしくお願い申し上げます。

ご連絡ありがとうございました。「猛省を促し、再犯防止のためにも相応の処罰が必要である」と検察官の論告求刑にあったとのことですが、私の経験では刑務所を意味する言葉がなければ執行猶予付き判決だと考えています。私の記憶の限りでは、今までその例外はありませんでした。「相応の処罰」との表現は執行猶予付き判決と矛盾しないと思います。
よろしくお願いいたします。

ご連絡ありがとうございます。
やはり執行猶予の可能性が高いんですね

また先ほども質問させていただいたのですが本件は被害額が少額かつ示談・宥恕が成立しているものの、私は被害者と直接接点がなく、騙し取ったわけでもありません。
このような場合でも、示談成立の効果は量刑判断において十分に考慮されるかについても教えていただけますでしょうか?

ご連絡ありがとうございました。示談成立の効果は非常に大きいと思います。裁判所、検察官が特殊詐欺について非常に厳しい見方をしているので、示談がなければ、本件でも実刑判決の可能性はかなりあったと私は思っています。よろしくお願いいたします。

泉先生

このたびは、私の不安や疑問に対して、
とても丁寧かつ的確なご回答をいただき、誠にありがとうございました。

今回、検察官の論告内容について詳しくご意見を伺えたことで、
自分の置かれている状況をより冷静に理解することができ、
判決に向けて心構えを固める大きな支えとなりました。

また、示談成立の意義や、それが量刑判断において十分に考慮されることについても、
非常に分かりやすくご説明いただき、安心することができました。

貴重なお時間を割いてご対応いただきましたこと、心より感謝申し上げます。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。