従業員による社内窃盗問題についての対応

現在、当社で社内窃盗が発覚し、対応に悩んでおります。

加害者は社員で、複数回にわたり金銭を盗んだことが確認されています。証拠として録画された映像が2日分ありますが、本人がまだ自白していない段階です。おそらく自白する見込みです。就業規則がまだ整備されていないのですが、懲戒解雇を予定しています。
解雇後に「不当解雇だ!」と言われた場合、会社側が法的に困ることはないか、確認したいと思っています。

また懲戒解雇の流れとして、
事情聴取時に弁明の機会を与える
処分については後ほどと伝えて、解散
その後解雇通知書を赤のレターパックで送る

と言う流れで良いのでしょうか。

解雇後に不当解雇を主張されるリスクを回避するために、事前にどのような準備や対応をしておくべきか、また証拠として映像を使用する際の注意点等についてアドバイスをいただければと思います。

>就業規則がまだ整備されていないのですが、懲戒解雇を予定しています。
→ 懲戒解雇に関する判例をご存知でしょうか。就業規則が整備されていない状況からしますと、解雇が無効とされるリスクがありますので、以下の判例も参考の上、方針を再検討なさってみてください。
 自社でのご対応に苦慮される場合には、お近くの法律事務所に直接相談なさってみてください。

【引用元】裁判所サイト
最高裁判所第二小法廷平成15年10月10日判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62496

判示事項
 1 使用者による労働者の懲戒と就業規則の懲戒に関する定めの要否
2 就業規則に拘束力を生ずるための要件

裁判要旨
 1 使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。
2 就業規則が法的規範として拘束力を生ずるためには,その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する。

「就業規則が整備されていない」という点について、就業規則が作成されていない状態なのか、就業規則が作成されていて懲戒規定があるが改定作業中なのか、という状態により、今回の対応は大きく変わることになります。

就業規則が作成されていないという状況でしたら、懲戒処分は、就業規則に懲戒処分に関する規定がないと、そもそも行うことができませんので、その状況下で懲戒解雇をすることは、違法無効と判断されることになります。

具体的な事実関係により、解雇が違法と判断されないように適切な進め方が変わり得ますので、労働法を扱う弁護士に相談されるのをおすすめいたします。

複数回における窃盗は労働契約法第16条に基づき、正当な理由があれば懲戒解雇が可能だと思うのですが、それには該当せず、就業規則がないと懲戒解雇はできないのでしょうか。

労働契約法16条の解雇は、懲戒解雇ではなく、普通解雇の規定になります。
懲戒解雇は、就業規則に定めがないと行うことは違法無効と判断されます。

上記の回答について訂正いたします。
労働契約法16条は、解雇が無効となる場合の規定であり、懲戒解雇の場合も適用されますが、就業規則に懲戒解雇の規定があることを前提とした内容になります。
そのため、懲戒解雇の規定が就業規則に定められていない以上、懲戒解雇を行うことは違法無効になります。