最終面接合格後の内定見送り、法的対応は可能か?

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転職活動をしています。 第一志望の企業において、2月上旬に最終面接を受け、転職エージェント経由で現場マネージャー・人事マネージャーより是非、と「最終面接合格」と連絡を受け、あとはエグゼクティブ(※面接官としての自分との接点なし)の承認待ちですとのことでした。 残りは承認だけで、最終面接合格、ほぼ内定確実ということで、現職の3月末での退職手続きも進めはじめました。 そのまま約1ヶ月が経過しました。 その1ヶ月間、何度も企業に最終結果=内定の正式な連絡をするよう何度も何度もアプローチしていましたが、2月は連休もあるからという理由でエグゼクティブが捕まらないとのことで返事をいただけず、企業人事も平謝りするだけで状況の進展もなく、遂に3月に突入しました。 3月3日夜、ようやくエグゼクティブと連絡がついたとのことで、残りは承認だけと思っていたところ、「(現場・人事マネージャーの自分の採用申請が)not convincing」と言い出し、内定が出ない可能性が急浮上しました。 2月上旬〜3月頭までの1ヶ月があれば、他社の選考も受けることができました。 しかし、1ヶ月間、エグゼクティブの都合で最終的な返答を待たされ続け、その機会を奪われ、さらに4月からの職も危ぶまれる状況と一気に悪い方に変化してしまいました。 下手をするとキャリア・人生に大きな影響を与え、心理的な苦痛も大きいです。 内定というものが確実に出ていないとはいえ、こういった状況下で何か法的措置のようなものを取ることは可能なのでしょうか?

きくち さん

弁護士からの回答タイムライン

  • 仮に採用に至らなかった場合、最終面接合格等の過程を踏まえ、内定ないし内々定が成立していたものとして、会社側に損害賠償を請求して行く等の方法があり得るかもしれません。  いわゆる内々定の取消しについて、当事者双方が正式な労働契約締結を目指す上での信義則違反による不法行為に基づく慰謝料請求を認めた裁判例(コーセーアールイー第2事件 福岡高裁平成23年3月10日判決)が一つの参考になるかもしれません。 「本件内々定によって始期付解約権留保付労働契約が成立したとはいえないが、契約当事者は、契約締結のための交渉を開始した時点から信頼関係に立ち、契約締結という共同目的に向かって協力関係にあるから、契約締結に至る過程は契約上の信義則の適用を受けるものと解すべきである。かかる法理は労働契約締結過程においても異ならない。」 「このような事情の下、労働契約締結過程の一方当事者である控訴人としては、被控訴人らにつき内々定取消しの可能性がある旨を人事担当者であるBに伝えて、被控訴人ら内々定者への対応につき遺漏なきよう期すべきものといえるところ、控訴人は、かかる事情をBに告知せず、このため同人において従前の計画に基づき本件連絡をなしたもので、かかる控訴人の対応は、労働契約締結過程における信義則に照らし不誠実といわざるを得ない。」 「よって、本件における内々定の合意の実体は、内定までの間に企業が新卒者が他の企業に流れることを防止することを目的とする事実上のものであって、直接的かつ確定的な法的効果を伴わないものである。したがって、被控訴人の請求のうち、労働契約に基づくものは理由がないが、当事者双方が正式な労働契約締結を目指す上での信義則違反による不法行為に基づく慰謝料請求は理由がある。」  いずれにしても、より詳しくご相談になりたい場合は、お手もとの証拠を持参の上、お住まいの地域の弁護士会等で面談形式での労働相談を受けてみることも検討してみてください。
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この投稿は、2025年3月5日時点の情報です。
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