逮捕歴がネットで拡散されるかもしれないと不安でいっぱいです。アドバイスお願いいたします。
とある犯罪をしてしまい逮捕歴があります。
ネットで調べると自分がしてしまった悪事や実名が普通に出てきます。
たまたま流れてきた知らない人のXのポストを見ると、自分のことを書いて誹謗中傷しているアカウントでした。(幸い、本名や顔写真は載せられていませんでした)
実名のところはモザイクで隠されていましたが、犯した悪事と逮捕されたことが書かれている記事のスクリーンショットが載せられています。
犯罪の内容や住んでいる県、年齢はモザイクで隠されていないので第三者がネットで調べるとその記事は閲覧できてしまう状態ですが、スクリーンショットだけを見ると誰のことかは特定できない感じです。
自分が悪いのは重々承知ですが、こちらはプライバシーの侵害や名誉毀損に該当しないのでしょうか?
開示請求をして相手を訴えることは可能ですか?
困っているのでご回答いただきたいです。よろしくお願いいたします。
プライバシー侵害については「犯罪の内容や住んでいる県、年齢はモザイクで隠されていないので第三者がネットで調べるとその記事は閲覧できてしまう状態」というところが微妙であり,さらにいえば前科情報については公共性と公益性が認められることが多いため,削除請求や発信者情報開示請求が認められるかどうかについては,実際の投稿を確認した上で慎重に検討する必要があると思います。ネット誹謗中傷を多く取り扱っている弁護士へ直接相談された方がよいでしょう。
名古屋の弁護士の加藤と申します。以下のとおり回答いたします。
1 プライバシー侵害・名誉毀損にあたるか
(1)プライバシー侵害
既に報道やネット記事などで「逮捕歴」や「事件内容」などが公になっている場合、公開されている情報を引用しているだけであれば、プライバシー侵害としての主張が難しいケースもあります。ただし、事件と結び付くような個人情報(氏名・住所・顔写真など)が晒されているなど、あなたが特定される態様であれば、プライバシー侵害や名誉毀損が問題となり得ます。
今回のご質問ですと、「本名はモザイク」「年齢・県名・犯罪の内容は隠されずスクリーンショットでわかる状態」とのことで、その情報だけで実質的にあなたが特定されてしまうかどうかがポイントです。投稿単体ではわからなくても、検索や周辺情報と合わせて「これはあの人のことだ」と推測できれば、プライバシー侵害が認められる場合もあります。
(2)名誉毀損
名誉毀損が成立するためには、
「特定の人」に関する事実や評価を示すこと
その事実や評価が、社会的評価を下げる内容であること
公共性・公益性・真実性または相当性の有無 などの判断
が必要になります。
既に公になっている「逮捕の事実」や「犯罪行為」を伝えているだけであっても、記載の仕方や意図によっては名誉毀損が成立する場合があります(例えば、誹謗中傷・侮辱する表現が付されているなど)。
もっとも、事実をそのまま述べただけの場合には「真実性があるので違法性が阻却される」と認定される可能性もあります。
「既に事件として報道された客観的事実」をもとにしていても、「この人は更生の余地がない」など断定的な侮辱表現で誹謗中傷する内容の場合は、名誉毀損・侮辱が問題となり得ます。
いずれにせよ、「書き方・内容・本人の特定のされやすさ」などを総合的に確認しないと、プライバシー侵害や名誉毀損に該当するかどうかは判断が難しいです。
仮に犯罪事実そのものが真実かつ公益目的の部分があるとされれば、開示請求が認められにくくなる場合もあります。
しかし、「犯罪をした過去」は事実だとしても、個人攻撃の仕方や誹謗中傷の文言が行き過ぎており、違法性が高いと判断されるケースでは開示請求が認められる可能性があります。