未成年後見人の届出が遅れた場合の影響と対処法は?

未成年後見人を遺言書で指定する場合に
後見人が就任するならば親権者の死亡後10日以内に未成年者の市区町村役場に届出をする必要があります(戸籍法81条1項)とありますが、10日に間に合わない場合どうなるのでしょうか?
そもそも家庭裁判所に遺言書の検認を依頼する段階で間に合わない気がします。
さらに届け出時に子供本人の戸籍謄本も必要なそうで、本籍地が現住所から遠いため取り寄せに時間がかかるようです。

未成年者の後見届の提出期間は、「親権者の死亡後10日以内」ではなく「その就職の日から十日以内」です(戸籍法81条1項)。
遺言による指定は一方的なものであり、指定された人が就任を断ることもできますので、就職の日とは、厳密には指定された者が未成年後見人となることを承諾した日ということになります。
また、お書きのとおり、未成年後見人を自筆証書遺言で指定した場合は検認が終了した上での届出となりますが、届出期間を経過していても後見届は提出することができ(戸籍法46条1項)、仮に就任から10日以上が経過していても、検認が終了していなければ届出ができない(正当な理由がある)ため過料の制裁を課されることもない(戸籍法137条を参照)と思います。
ただ、未成年後見人を指定する場合、未成年後見人の指定のみを内容とする公正証書遺言を作成し、かつ、後見人候補者の方へ謄本を渡しておく方が、就任手続はスムーズであるといえます。
なお、現在は、戸籍の届出に戸籍謄本の添付が必要なくなったため、戸籍謄本の問題は生じないと思います。

川添先生ありがとうございました。
一つだけ質問ですが、現在、戸籍謄本の添付は全国的に不要になっているという認識で大丈夫でしょうか?

行政のデジタル化推進の一環として戸籍届出に際しての戸籍謄本添付が不要という扱いになっています。