投資詐欺の過失相殺は?

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詐欺的な投資、ポンジスキームなどの明らかな違法性がある場合でも、民事裁判で原告側の過失で損害賠償請求から相殺されることはありえるのでしょうか? たしかに、騙されて、現実的にありえない投資話に投資してしまったのは理解できますが、なんだか理不尽だなと感じてしまいます。 証拠などが揃っていれば、相殺なしなどもあるのでしょうか? また、過失相殺の割合もどれくらいが相場ですか?

匿名希望 さん

弁護士からの回答タイムライン

  • 不法行為の場合、過失相殺するかどうかは任意的です。「あり得るか否か」というご質問であれば、あり得るという回答にはなります。ただ、事案が悪質であれば、過失相殺されない可能性はそれなりにあるでしょう。具体的な見通し等については、委任している弁護士によく確認してみるとよいと思います。 <参照:民法> (損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺) 第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。 2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
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  • 【回答】「故意不法行為のうち詐欺取引型」(一般には暴行型と詐欺型で分けて議論がなされている。)において過失相殺は、認められないとされています。 (1)大阪高裁平成18年9月15日裁判例 裁判所は、「故意ある不法行為に対する過失相殺の適否」について「過失相殺は、本来文字通り過失のある当事者同士の損害の公平な分担調整のための法制度であり、元来故意の不法行為の場合にはなじまないものというべきである。なぜなら、故意の不法行為は、加害者が悪意をもって一方的に被害者に対して仕掛けるものであり、根本的に被害者に生じた痛みをともに分け合うための基盤を欠く上、取引的不法行為における加害者の故意は、通常、被害者の落ち度或いは弱み、不意、不用意、不注意、未熟、無能、無知、愚昧等に対して向けられ、それらにつけ込むものであるから、被害者が加害者の思惑どおりに落ち度等を示したからといって、これをもって被害者の過失と評価し、被害者の加害者に対する損害賠償から被害者の落ち度等相当分を減額することにすれば必ず不法行為の成果をその分確保することができることになるが、そのような事態を容認することは、結果として、不法行為のやり得を保証するに等しく、故意の不法行為を助長、支援、奨励するにも似て、明らかに正義と法の精神に反するからである。したがって、故意の不法行為の場合、特段の事情がない限り、被害者の落ち度等を過失と評価して損害額の減額事由とすることは許されない。」と判示した。 (2)東京高等裁判所平成30年5月23日裁判例 裁判所は、「故意ある不法行為(詐欺行為)に対する過失相殺の適用」について「本件のような故意による不法行為であって犯罪成立可能性すらあるものによる被害について、過失相殺をすることは、極力避けるべきである。・・・過失相殺は、当事者間の公平を図るため、損害賠償の額を定めるに当たって、被害者の過失を考慮する制度であるところ、第1審被告らの不法行為は、故意による違法な詐欺行為であって、このような場合に、被害者である第1審原告らの損害額を減額することは、加害者である第1審被告らに対し、故意に違法な手段で取得した利得を許容する結果になって相当でない。」と判示した。。 投資詐欺(ポンジスキーム)等の事例においては、相手方が故意に騙した事案であれば、過失相殺の主張は封じられることになります。
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  • もっとも、多くの投資詐欺の事例では、自分も一定の投資をしていて自分も騙されていたのであって、詐欺の話とは知らなかった(故意はなくて過失だ)という被害者ポジションを取る場合が多いです。その場合には、個別の事例に応じて過失相殺が認められるケースはあります。過失相殺の割合は、ケースバイケースであると思われます。
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この投稿は、2025年1月21日時点の情報です。
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