証拠の提出タイミングと戦略についてのご相談

証拠を出すタイミングというものはありますか?
会社側です。
わたしは人事部の部長の立場です。

不当解雇ということで、
社員から弁護士を立てられております。
まずは交渉となります。

能力不足という理由での解雇ですので、
企業側が不利になるのは重々承知ですが。

ですので、
交渉で決着がつかないことを想定して、
次の段階の訴訟を意識して、
交渉段階では、あえて、証拠を出さないという作戦もあり得ますか?

訴訟になること自体が、
企業にとっては負担ですか?

訴訟上の証拠提出方法は様々ですので一概には言えませんが、交渉段階で呈示しなかった証拠を訴訟において提出すること自体は自由です。

もっとも、訴訟においても一方当事者からの証拠の提出後に、相手方当事者からの反論(主張、証拠提出)の機会は保障されています。
交渉段階で呈示するのと、訴訟段階で初めて提出するのとを比較し、相談者さん側のメリットデメリットや相手側の対応の予想等を鑑み、ご呈示の証拠提出方法を検討されてください。

また、解雇問題とのことですので、和解交渉から訴訟に一足飛びに移行せず、労働審判や調停を経由する可能性もあることに留意ください。

証拠を出すタイミングは、証拠を出す効果によって変わってきます。
相手が訴訟で嘘を主張する可能性があれば、嘘を主張した後に、信実の証拠を出すと効果があります。
要証事実に争いがない証拠なら、いつ出しても変わらないでしょう。
こちらの弁護士と予測を立てながら検討しましょう。

次の段階の訴訟を意識して、
交渉段階では、あえて、証拠を出さないという作戦もあり得ますか?

あるといえばありますが、決定的なものなら先に出して話をつける方が良いでしょう。
会社にとっても負担です。

また、そういう駆け引きは、裁判所における心象はよくないです。
それと認定はある事実と証拠の関係でされるので、一般の方が思うほどに駆け引き的な要素はありません。