正社員解雇の正当性と裁判への備えについての相談

当方、会社側の法務部の人間です。

先日、正社員の解雇に踏み切りました。

その社員は仕事はよくできるのですが、
正義感が強いが故に、役員との言い争いなど、人間関係等のトラブルが多々あり、役員から解雇にして欲しいと命令が下りていました。

普通解雇という方向で、口頭にて当月分給料+翌月分給料を支払うと言う事で一旦は落ち着いた様に見えたのですが、支払日になり、手当てを受け取った後に『不当解雇』を理由に裁判をすると言い出しました。

【質問1】
役員に逆らったのは事実なのですが、こちらに非はあるのでしょうか?
役員に逆らったというのは、解雇理由にはならないですか?

【質問2】
会社間の中でも彼が最も高給の中途採用でした。いざ裁判となった時、それらの給与明細等は『証拠文書』として有効なのでしょうか?高年収の中途採用者は、指導や教育もなく、解雇にしやすいと聞いたのですが。

【質問3】
解雇理由は協調性のなさという能力不足ですが、指導や面談は特になく。
解雇理由としては弱いですか?

労働契約法では以下の様な規定がございます。
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
【ご質問1に対して】
「役員に逆らった」ということの内容次第ですが、
役員がどのような命令を下し、それにどの様な逆らい方をしたのかによっては、権利の濫用として解雇が無効とされる恐れはあると思います。
【ご質問2に対して】
得ている給与が高かったかどうかは、普通解雇の上では判断が難しいと思います。
経営上整理解雇の必要がある際の場合とは事案が異なると思われます。
【ご質問3に対して】
「協調性のなさ」=能力不足ということにもならない様に思います。
指導や面談もなく解雇ちうことをされたのでしたら、反省するチャンスも与えなかったと評価されることになろうかと思われます。
以上、ご質問が簡略ですので、一般論的な私見としてお答えします。
ご参考になさって下さい。

追伸:解雇ちう(誤)→解雇「という」の誤変換です。失礼を致しました。

1.
どの程度の事実なのかにもよりますが、口答えをした、いうことを聞かないというレベルであれば不当解雇とされる可能性はあるでしょう。

2.
中途採用だからと言って解雇をしやすいということはありません。契約の際に当初想定されていた能力を備えていない場合に、能力不足を理由として解雇を認められる場合が一般より可能性が上がるというだけです。

3.
弱いかと思われます。不当解雇として争われた場合、相手の主張が認められてしまう可能性があるでしょう。

相手の人がどうしても争う姿勢を変えず、しかし、会社としては辞めてほしい(復職させるのは絶対に嫌)と言うことであれば、裁判外の交渉で解決するか、裁判・労働審判を経て解決するか、いずれの方であっても、最終的にはお金を積んで和解して辞めていただくように、持っていくしか、方法がないように思われます。

代理人に交渉を委ねる方向で役員を説得すべきでしょう。