マンションの共用部分の工事負担交渉と管理組合の責任について
「昨年春頃から、お隣の賃貸物件のエアコン排水が我が家(区分所有者)のベランダに流れ込み、水たまりを作ってしまう問題が続いています。エアコン排水については改良工事を行いましたが、効果は一時的で、数週間後には再び排水が流れ込む状況に戻ってしまいました。このマンションは昨年春に大規模修繕工事を行っており、業者からによれば、新たに考えられる原因として、ベランダの防水シートを張り替えた際に、床面シートが新しいことで、水が床面に付着して流れない可能性があるとのことですが、もともと先方のエアコン室外機の水が流れるところに非常用避難ハッチがあることと、我が家のベランダ側に排水口があり我が家に水が流れ込みやすい勾配ができていると思います。
管理会社からは、水が入り込まないようにする追加工事の提案がありましたが、その費用負担を巡り、管理組合が渋っている状況です。ベランダは共用部分でもあり、この問題は我が家が一方的に受け入れるべきものではありませんし、個別に費用を負担するのも筋違いだと感じて今す。問題の発生源が賃貸物件側にあること、さらには大規模修繕後の環境変化も影響している可能性がある以上、管理会社/組合としては公平かつ迅速に対応する義務はないのでしょうか?
大規模修繕工事が原因でベランダの不具合が発生したということであれば、管理組合の責任と負担においてその不具合を是正するための工事をしなければならないのが通常です。
まずは、マンションの管理規約を確認してからとなりますが、管理組合の理事長(理事長がいない場合は管理業者)に対し、速やかにベランダの不具合を修復するよう求めるべきでしょう。
なお、最終的な修復工事の費用負担については、排水がきちんと行われない工事をした業者に負担させるべきであって、管理組合が負担するのはおかしいのではないでしょうか?本来は、管理組合の理事長が、防水工事を請け負った業者と交渉すべきと思います。
小杉 先生、ご回答ありがとうございます。
そもそも水の出元が明確に証明できないため、責任もたらい回しになっている感じはします。
理事会は工事の不備とは捉えていないので、そうなると、現状に不満である我が家が費用を出すことになってしまうのでしょうか?
大規模修繕時に交換したシートがまだ新しいために(表面張力が強くて)水がたまりやすくなっているという業者の説は、どちらかというと「時間が経過すれば流れるようになる」というようなニュアンスを帯びて聞こえました(しかし本当に時間がたてば解決するのかは不確かです)。
それまで何年も我が家が受忍するいわれはないと思うのですが、「我が家が黙れば一番簡単」というふうに流れそうで警戒しています。
水の流入問題は昨年の春からで、その頃ほぼ同時にお隣の入居と大規模修繕工事がありました。(それ以前に問題はありませんでした)そもそも、この階のベランダには庇があって雨水が流れ込むこと自体が稀なのに、年に何度もここだけ水がたまるというのもおかしいです。
まずはお隣のエアコン室外機からの排水を疑って、お隣に対応していただいたのですが、エアコンの排水は夏と冬で水の出どころが少し違うようで、冬場の霜取りの水に対して適切な対応がされたかは良くわかっていません。その日は寒い日で我が家のエアコン室外機の下からも流れ出た水を見ていますので、私は依然としてお隣のエアコンの水ではないかと疑っています(証明はできていませんが)。
今回問題が再発した前日に雨が降っているのでお隣に雨水が流れ込んでいる可能性は否定しません。もともと我が家側にある排水口を目指して床が傾斜していたのだと思います。ただ、そうであればもっと昔に気づいていたのではないかと思います。
ただあまりにも解決しないので、我が家が不利になりつつあります。
まずは、理事長か管理業者に管理規約を見せてもらってください。
共用部分(ベランダ等)の管理(重大ではない修繕工事は管理行為です。)については、管理組合がその責任と負担において行うと書いてありませんか?区分所有者の故意・過失による損傷なら別ですが、そのような事情がないのに、共用部分の修繕工事費用を特定の区分所有者が負担することにはなっていないはずです。
また、ベランダには適度な傾斜をつけて、排水口に向かって水が流れるようにしておかなければなりません。水の出元がどこであれ(雨水であろうが隣のエアコンの排水であろうが関係なく)、ベランダに水たまりができたり、隣のベランダに流れ込むのはベランダの排水システムが機能していない(施工不良の可能性あり)ということです。
小杉先生、
追加の解説をありがとうございました。とてもわかりやすかったです。
規約を確認してみました。申し訳ありません、可能でしたらあとひとつ質問させてください...
> 共用部分(ベランダ等)の管理(重大ではない修繕工事は管理行為です。)については、管理組合がその責任と負担において行うと書いてありませんか?
⇢たしかに「共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担において行うものとする。」という箇所があります。
ただ、そのあと、以下のように続きます。
「但し、バルコニー等専用使用部分の管理のうち通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。」
さらに、このように続きます。
「2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」
問題のバルコニー(ベランダ)は、我が家の中を通らないと行けない構造です(つまり私しか使わない)。すると、水たまりのできている床部分の責任は私が持つということになってしまうのでしょうか?
しかし、排水口はお隣と共用ですし、階下にもつながる(水が落ちていく)わけですから、やはり共用という理解で、理事会に対応いただくよう交渉可能なのでしょうか???
日常の使用に伴う劣化や区分所有者自身による破損の修繕については、通常の使用に伴う管理に当たりますが、大規模修繕工事に起因する不具合の修繕については、通常の使用に伴わない管理として、管理組合の責任と負担において行うことになります。
業者が言うように、「ベランダの防水シートを張り替えた際に、床面シートが新しいことで、水が床面に付着して流れない」のが水たまりの原因であれば、大規模修繕工事の際の防水シート張り替え工事がその原因ですから、その是正のための工事は、通常の使用に伴わない管理に当たると考えます。
なお、「2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う…」という条項は、管理組合は、共用部分の配管取替工事をするついでに、専有部分にある配管取替工事も同時にすることができるという意味なので、今回のケースには関係ありません。
小杉先生、何度も丁寧な回答をいただきありがとうございました。参考にさせていただきます。お世話になりました。