共有名義の土地を父に売らせないことは可能か

遺産分割協議に際し、「共有名義の土地を父に売らせないことは可能か」というご相談です。

昨年12月に母が死去し、父、姉、私の3人で遺産を分割することになりました。
母の遺言はありません。

遺産には現預金、株券のほかに実家の土地の名義があります。

実家の土地の名義は現在64%を父が保有しています。

母は残りの36%を保有していたので、父が18%、姉、私がそれぞれ9%の名義をもつ権利があることになるかと思います。

父は母の存命時に母の土地の名義36%についての委任状を取得したと話しており、それを元に土地ごと実家を不動産屋に
売却するため、売買契約を結んだと話していました。委任状取得の年月日、および当時の母の認知能力は不明です。
(母と直接話していた限り、母が委任状に署名する意味を完全に理解していなかった可能性があると感じます)

父は手付金400万を受取済でした。12/13に本契約を済ませ、残りの代金を受け取る予定でしたが、12/8に母が死去したため、
委任状が無効となり、遺産分割協議をおこなう必要が生じました。

私と姉は実家と土地を手放したくないため、以前より父にそのように申し入れていましたが、父は聞き入れませんでした。

そのため、私と姉がそれぞれ9%の土地の名義をもつことによって売買契約を止められるのではないかと考え、父と姉と私の3人で
協議をおこなった際、姉と私から実家と土地を手放したくないこと、土地の名義を手放す気はないことを父に伝えました。

が、父の考えは変わらず、しかし私たちがそれぞれの土地の名義を手放さない場合、おそらく違約金800万を不動産屋へ
支払う必要が生じると話していました。

①この場合、父は本当に実家と土地を売却できず違約金を支払うことになり、今回の契約は無効になるでしょうか。

②また、今後父は私たちの同意がなければ、共有名義の実家と土地を売却することは不可能でしょうか。

なお、私たちは土地の売買契約書、および父のいう母の委任状を見たことがありません。

③父が今後も土地の売買契約書および委任状を見せたがらない場合、法的に開示請求をすることは可能でしょうか。

契約書が確認できないため、ご相談するにあたり材料不足かと思いますが、可能な範囲で回答いただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

1,契約書を見ることになりますが、契約は解除される可能性が高いでしょう。
2,不可能でしょう。持ち分だけなら可能です。
3,現段階では、強制力はありませんが、開示を申し入れることは可能です。

母の委任状というのが偽造であれば話は異なるのですが、
有効な売買契約が既に成立したのちに、母が死亡したというのであれば、売主としての地位(引き渡す義務等)を他の相続人が相続するのであって、当然に売買契約は無効になりませんし、解除事由もありません。
そのため、特に理由もなく解除(引き渡さない)ということであれば、違約金の問題は生じるでしょう。

①この場合、父は本当に実家と土地を売却できず違約金を支払うことになり、今回の契約は無効になるでしょうか。
  母が委任状を書いたときに判断能力があり、委任状が母により書かれていたなど母の委任状が有効であれば
  相手は、解除するか、契約に基づき、移転登記や引き渡しをするよう請求することができます。
  解除をせずに、移転等や引き渡しを請求されると、母の委任状が無効であることを証明できない限り
  代金と引き換えに移転登記や引き渡しをせざるを得なくなります。

②また、今後父は私たちの同意がなければ、共有名義の実家と土地を売却することは不可能でしょうか。
  既に売買契約書が交わされている場合は、その履行を買主に求められる可能性があります。

なお、私たちは土地の売買契約書、および父のいう母の委任状を見たことがありません。
  通常は、売買契約が交わされてから1か月くらいで移転登記や引き渡しなどの決済がなされるはずなので
  父が委任状や売買契約書を開示しないとすれば、本当に売買があるのかは怪しいです。

③父が今後も土地の売買契約書および委任状を見せたがらない場合、法的に開示請求をすることは可能でしょうか。
  父に対し、法的に開示請求権はありません。
  本当に売買がなされているのであれば、買主から何らかの請求があると思いますので
  買主に契約書や委任状を見せてもらえばよいと思います。
  あなた方が印鑑証明を出したり、実印を押したりしなければ登記はできないと思います。

  弁護士に面談で詳しい事情を話して相談された方がよいと思います。