競業避止義務誓約書の効力と回避策についての相談

北海道の地方のとある市内でパーソナルトレーナーをしています

入社の際に、競業避止義務の誓約書を書かされました。
内容を見てあまり同意したくなかったのですが、オーナーが大学の先輩だということとこの誓約書が任意だと知らず、義務だと思い仕方なくサインしました。
任意だったと知った今では後悔しています

内容
就業中・退職後2年間、同じ管内(全域)においてジムおよびパーソナルトレーニングの業務においては次の行為を行わないこと
・貴社の従業員に対し、貴社と競業関係に立つ事業への就職等を勧誘すること
・貴社と競業関係に立つ事業を自ら開業し、又は設立すること
・貴社と競業関係に立つ事業又はその提携先企業に就職し、又は役員に就任すること
・貴社以外の施設においてパーソナルトレーニング業務を行うこと

・代償措置の記載なし(手当もなし、退職金の話などもなし)
・給与:額面30万円(内訳は給与、資格手当、時間外手当、住宅手当、通勤手当)
・賞与:年二回、給与1ヶ月分ずつ

・この競業避止義務誓約書が無効になり得る要素はありますか?
パーソナルジム、パーソナルトレーニング業務のみならず、広く「ジム」まだ制限されてしまうと大衆向けのジムもダメで生活できません

・もしまた退職の時に競業避止義務誓約書書かせようとしてきたら、断っても問題ないでしょうか?また、どのように断るのがベストでしょうか?以前は断りにくいため書いてしまいました。こういった誓約書は有効ですか?

・代償措置の記載がないのですが、この場合はどのように判断されますか?

退職後の労働者の競業避止義務を定めた合意は、公序良俗に反して無効とされることがありますが、その有効性に関する判断基準について確立した判例は未だありません。したがって、ご質問の誓約書が有効か否かを断定的に回答することはできません。

ただし、近年の裁判例は、退職後の競業避止義務を容易に認めない傾向にあります。
裁判例が判断にあたって取り上げている要素は、(1)競業を禁じる正当な目的(営業秘密の保護等)の有無、(2)労働者の職務・地位(営業秘密に触れるのか否か等)、(3)競業が禁止される期間・地域、(4)代償措置(退職金の割増等)の有無・内容、といった事項です。
代償措置の存在を有効性の不可欠の要件とした裁判例もあります。

> この競業避止義務誓約書が無効になり得る要素はありますか?

上述のとおり、退職後の競業避止義務にかかる合意は公序良俗に反して無効とされることがあり、ご質問の誓約書も無効とされる可能性はありますが、いずれにせよ断定できません。

> もしまた退職の時に競業避止義務誓約書書かせようとしてきたら、断っても問題ないでしょうか?また、どのように断るのがベストでしょうか?

誓約書を書く義務はありませんから断っても問題ありません。義務がない行為を断るのに理由は要りません。

> 以前は断りにくいため書いてしまいました。こういった誓約書は有効ですか?

入社の際は、求められた署名を拒否すれば採用してもらえないのではという心理が働きますから、不本意でも署名してしまいがちです。裁判所も、そのことを踏まえ、入社時の誓約書については、より慎重に有効性を判断する傾向にありますが、入社時の誓約書だから、という理由だけで当然に無効とされるものではありません。

> 代償措置の記載がないのですが、この場合はどのように判断されますか?

上述のとおり代償措置を不可欠の要件とした裁判例もありますが、必ずしも一般的な見解ではありませんので、代償措置がないことで当然に無効とまでは言えません。