施工会社の遅延で補助金が受け取れない場合の損害賠償は?

現在、新築の注文住宅を建築中です。基礎工事が終わり、12月から上棟となる予定です。
当初より市の補助金約300万円を受けられる仕様であることを前提で相談し、6月に契約を締結しました。
補助金受領の条件としては、所定の断熱仕様を満たし、2月までに引き渡しが完了している必要があります。

しかし建築確認申請の作図にあたって当初の設計では採光計算や換気計算が通らない、断熱材の厚さを計算に入れておらず再度図面を引き直すなどの紆余曲折があり、大幅な時間を要しました。
最終的に10月に建築確認申請が下り、口頭ではありますがこれからの着工で補助金に間に合うのか確認し、担当営業からは間に合わせるとお約束頂いたので11月に着工いたしました。
にもかかわらず着工から1週間程度で担当営業より連絡があり、「着工してスケジュールを引いてみたら補助金の条件である2月引き渡しに間に合わない可能性がある。補助金受領は確約できない旨ご了承頂きたい。」とのこと。

既に着工開始しておりここでやめる訳にもいかず、何が何でも間に合わせて欲しい旨お伝えし工事は継続しておりますが、最終的に間に合わず補助金分も補償されないのではと非常に心配しています。当初の契約書には補助金は免責とする旨の文言のみ入っており、その点も当方に不利ではないかと危惧しています。

そもそも最終的な仕様に関しても、こちらが依頼した見積書や仕様内容の確認が1ヶ月以上提出されず、内容不確定のまま着工日がせまり、そのままサインをしています。仕様内容の確認は今も継続しており、再三の催促にも回答が得られていない部分が多々あります。

以上の経緯から、仮に2月引き渡しの条件が達成できず補助金を受けられなかった場合、工期に遅れが生じた事由としては施工会社の不手際によるところが大きいと認識しているのですが、補助金相当額の損害賠償は請求可能でしょうか。
また、当初の契約内容が向こうのフォーマットである以上、第三者による調停となった場合(第三者はJIO)に当方が不利になる可能性が高いと危惧していますが、現段階で例えばこのような内容の覚書を交わしておいたほうが良いなどのアドバイスがあれば、ぜひお伺いしたく思います。

藁にもすがる思いで投稿いたしました。一部でも構いませんので、ご回答いただけますと幸いです。

はじめまして。
ご相談拝見いたしました。

補助金関係は弁護士業務では間接的に関わることがある程度なので、やや漠然としたお答えになります。ご容赦ください。

補助金によっては、交付決定後にスケジュールが当初の事業年度内に完了できなくなった場合、その理由によっては補助金予算を翌年度に繰越できる場合があります。
補助金の種類によっても違いがあるかもしれませんので、補助金ごとに要確認です。

御相談者様のケースは、省エネ・エコ住宅関係の補助金と拝察いたします。
その補助金の資料・Q&Aか、または相談窓口へのお問合せで、仮にスケジュールが年度内に収まらない場合何か対応がとれるかを、お調べになってみてはいかがでしょうか。
もし繰越が可能であれば、施工会社側とも認識を共有して必要な対応をとれるようご準備なさることが、現段階では大事ではないかと考えます。

補助金の繰越が難しい場合は、損害賠償請求が検討事項になるかと思います。

損害賠償請求の可否や金額については、契約書の規定や一連の経過などについて多くの書面の検討が必要になります。
本Q&Aのような形では難しいので、お近くの弁護士に面談でご相談なさってみてください。

圷弁護士

ご回答誠にありがとうございます。
対象の補助金のQ&Aでは、報告期限に間に合わない場合は不交付となり、繰越等の措置については言及がありません。現状、ギリギリ間に合うかどうかというところなので、正直に問い合わせた上に繰越措置がない場合、より審査が厳しくなり藪蛇になりかねないのではと危惧しています。。

相談窓口への問合せがやぶ蛇にならないか、というご心配は分かる気がします。

一案ですが、当事者に責任のない事情による遅れの場合の取扱を、一般論としてお尋ねなさってみる方法はいかがでしょうか。
ざっと見た範囲では、LCCM住宅やZEHの補助金の場合は、補助事業者の責によらない一定の事情の場合に、翌年度への繰越ができる可能性があるようです。
ご相談のケースの補助金について同様の取扱があるかどうか、というのは、そう珍しくない問合せなのではないでしょうか。
ただご心配も分かりますので、この点はご自身でご判断なさってください。

損害賠償請求について、追加で回答をいたします。

法的には、損害賠償請求以外にも、状況次第では契約不適合による請負代金の減額請求という法律構成を考える余地もあるかもしれません。
いずれにしても、実際に法的対応を検討する状況となった場合は、工事完成時の工事代金のお支払をなされるより前に、弁護士にご相談なされる方がよいでしょう。

現段階で気を付けておくべき事項としては、まず、契約締結前後からの一連の経緯の資料をできるだけ確保しておくことです。

例えば、契約前の段階から施工会社側が補助金利用を提案していたような場合には、プラス方向の材料になる可能性があります。

事実関係の資料は、必ずしも、覚書のような双方作成の文書にこだわる必要はありません。
契約前の商談時の資料や、メールなども含む先方とのやりとりなども、できるだけ確保しておいた方がよいでしょう。

契約上の免責規定については、その射程の解釈(損害賠償請求や請負代金の減額請求を含むか)や、消費者契約法等の法令に照らした有効性が論点になる可能性があります。
書面を確認せずに立ち入った意見は申し上げにくい事項ですが、これらの場面でも前提となる事実関係が重要となります。

御相談者様のケースが良い方向に進むよう願っております。

圷弁護士

親切にご回答いただきまして誠にありがとうございます。
ハウスメーカーとの訴訟は望むところではありませんが、万が一に備えてどのような準備しておくべきかがわかりました。
大変助かりました。改めて感謝申し上げます。