普通賃貸契約でオーナーから貸主都合の立ち退き要求。このまま住み続けるには?
現在、分譲マンションの一部屋に賃貸契約で入居しているのですが、オーナーさんから突然1年後に退去してほしいとの書面が届きました。
最初に届いた書面によるとオーナーさんはマンション購入時に定年退職するまでは賃貸として貸し出し、その後は自分が住むつもりで購入したとのことです。
1年後に定年を迎えるため、こちらの部屋に入居したいので立ち退いてほしいとの内容でした。
ただ私たちは以下の事情から立ち退き料などの補償があっても引っ越しを考えていません。
1.子供の生活環境や学校などを変えなくてもいいように、物件を探す際の第一条件として定期借家でないことを最優先にこの部屋に決めたこと。
2.子供の学区内に同等の物件がほぼなく、あっても賃料が5万円ほど高くなってしまうこと。
子供が学校を卒業するタイミングが数年後なので、その時まで待ってほしいということは伝えたのですが、オーナーさんは自分の引っ越したいタイミングを譲れないようで調停・裁判も辞さないと言われました。
すぐに弁護士を介して調停を申し立てたとのことで、その書面も届いています。
私共はこれまで家賃の滞納や迷惑行為、契約違反などは一切なく、何年も入居させていただいていました。
マンション購入時から自分が入居したいタイミングを決めていたにも関わらず、定期借家契約ではなく普通借家契約を結び、その上で一方的にこちらの都合を無視して立ち退きを要求しているオーナーさんには正直憤りを感じています。
この場合、オーナーさんが自分で入居するつもりだというだけではあまりに身勝手過ぎて正当事由としては認められないのではないかと思うのですが、相手方弁護士がとにかく最初から強気で、裁判まで行っても退去させるという姿勢のため、何の勝算があってそんなに強気なのかと少し不安に感じているのも事実です。
今後も入居を続けたい場合、現在の状況だと私共が不利な状況なのでしょうか。
子供の進学のタイミングまでの数年間、今の環境のままの生活を続けるために何かアドバイスをいただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
借家法に照らして、客観的に見ると、あなたの権利が勝っていますね。
立ち退く必要はありません。
裁判で和解する時も、あなたの意向を優先した和解になると思います。
お忙しい中、ご回答をありがとうございます。
こちらの権利が勝っていると言っていただき、不安が軽くなりました。
調停の場でこちらの状況や考え、退去には応じられないことをしっかりお伝えして来ようと思います。
相手方の弁護士が強気のようですが、ご相談内容の限りでは、相手に勝算は少ないと考えて良いでしょう。
調停は、裁判所を介した話し合いの場に過ぎませんので、相手の一方的な要求に応じる必要はなく、妥協もしてはいけません。調停委員から意に沿わない調停案を示されても拒否して大丈夫です。納得いかない場合は調停不調で終了にしてもらうと良いです。
そうすると裁判になりますが、相手に正当事由がかなり少ないケースといえますので、立退請求は棄却、または相当程度の立退料を提示しないと立退請求は認められないと思います。ただ、裁判となった場合は、費用はかかりますが、弁護士を立てることをおすすめします。
頑張ってください!
田嶋先生
お忙しい中、これから迎える調停に関する詳しいアドバイスをくださりありがとうございます。
調停に際しどのように意思表示していけばよいのか良く理解でき、心強く感じております。
突然の退去要請に対して、現在の生活環境を考ると1年後の退去は難しいとお返事したところ、オーナーさんからはすぐに「調停や裁判をしてでも退去してもらう」と通知されたので、こちらが気圧されて退去することを期待している印象を受けています。
こちらは高額な立退料や無理な要求をするつもりはなく、ただ数年後の転居が可能になるタイミングまで入居を続けたいということをしっかりお伝えしようと思います。
裁判まで行かずに和解できることが望ましいですが、もしそうなってしまった時はいただいたアドバイスの通りに弁護士の先生への相談も視野に入れて考えて行きます。
心強いアドバイス、そして応援のお言葉まで本当にありがとうございました。
数年後の転居でまとまればよいのですが、オーナーの様子からすると、調停でまとめるのは、難しいように思います。
仮に退去するとなった場合、調停でも裁判でも、遠慮せずに適切な水準の立退料を請求してください。賃借人の正当な法的権利です。
立退料の適正水準は、ケースにより異なりますので、その場合は弁護士に相談するとよいです。私の感覚でいえば、事案にもよりますが、東京地裁の判決では家賃の2年分以上とするものが多いようです。ですので、遠慮はしないほうがよいです。
田嶋先生
再度ご教授いただきありがとうございます。
勝算が少なくても、実際に裁判まで持ち込む原告もいらっしゃるのですね。
請求すべき立退料のアドバイスも大変参考になりました。
立退料の目安が賃料の6ヶ月〜1年と書かれているwebページをいくつか目にしたので、東京地裁では2年以上の判決が多く出ているとのことに驚いております。
子供に繊細なところがあり、できれば卒業のタイミングまでは住環境を変えずに過ごさせてあげたい気持ちが強いので、何とかオーナーさんにあと数年待っていただけるよう頑張りたいと思います。
マンション購入時から来年のタイミングでご自分が入居するつもりだったにも関わらず、定期借家契約にせず普通借家として契約したことは貸主側の落ち度にはならないのでしょうか?
調停の書面には書かれていませんが、最初に届いた内容証明郵便のお手紙にはオーナーさん自らそのようなつもりで賃貸に出していたことが明記されています。
いただいたアドバイスに質問までしてしまい大変恐縮ですが、教えていただけると嬉しいです。
落ち度とまでは言えないかもしれませんが、貸主としては不誠実ですし、正当事由がない方向に作用する事情といえますので、その点も主張してみてください。
なお、ケースによりますが、立退料6か月は裁判ではあまり見ない水準です。交渉ベースならありますが。あと、不動産会社のHPでは、6〜12か月と低めの水準で書かれているとこが多いですが、裁判ではもう少し高いのが私の印象です。あくまでご参考までに。
田嶋先生
まずは調停の答弁書にて、契約までの経緯と共にしっかり主張したいと思います。
今のところインターネットで同様のケースについて調べるくらいしか出来ずにいたので、そこから得た知識と実際の水準との乖離についてご教示いただくことができ、大変有難く思います。
週末の貴重なお時間を費やし、何度も親切にご助言いただいたことを心から感謝申し上げます。
田嶋先生、本当にありがとうございました。
どういたしまして、陰ながら応援してますので、頑張ってくださいね!