契約違反による退去要求と資金支払い停止の理由について相談
【概要】
・A薬局:調剤併用ドラッグストア(以下、A薬局)
・Cグループ:小さな調剤併用ドラッグストアグループ(以下、Cグループ)
・D社:薬局運営会社(E氏が100%株主のオーナー。代表は別)
・E氏:投資家(A薬局の開局に至るすべての資金を提供)
【相談の背景】
Cグループは、D社が、仕入れ代金を支払わなかったことから、「名義」を理由に一方的に「契約の解除または解約(人・物を引き揚げて退去するよう求め)」てきました。これは、CグループとD社との契約を無視した契約違反です。また、Cグループからは、D社の代表に余程CグループとD社との契約書が邪魔なのか、「CグループとD社との契約を破棄しろ、E氏には黙っておけ」という脅しもありました。結果、断ったことから、本件が始まりました。
【仕入れ代金を支払わなかった理由】
倒産リスクと資産保全です。
Cグループからは、財務状況が悪化し、倒産リスクが高まっていることが示唆されました。このような状況でvが代金を支払えば、回収不能となる可能性が極めて高いため、支払いを停止する判断は財務健全性を守るために不可欠な措置でした。そのことから、契約に基づき、「信用状態が悪化した場合、契約解除や支払いの停止が認められます。Cグループが財務的な不安定さを示した時点で、DPCがリスクを回避し、資産を守るために支払いを停止するのは、契約上の権利行使しました。
【相談内容】
このまま、Cグループの言う通り、退去するしかないのでしょうか?
そもそもCグループは、単に名義だけで、いっさいの資金(設備費も運営費も)は、すべてE氏によるものです。
E氏としても、自分が投資したものを一方的に、「人・物を引き揚げて退去せよ」ということは、投資した金額に不当な損害が生じる為、納得が出来ていないです。
名義をD社に譲渡し、引き続きA薬局を運営を続けたいと思っております。
内容が複雑であり、かつ紛争の金額も大きいでしょうから個別の法律相談に行って弁護士に依頼すべきだと思います。
一般論としては、契約書の内容で本件のようなケースで支払拒絶できそうな文言があるかを確認する必要がありますね。
「契約書の内容で本件のようなケースで支払拒絶できそうな文言」としては、
Cグループの代表から、紹介会社を経由して薬剤師を採用しても、すぐに辞職してしまい、その度に紹介会社に多額のペナルティを支払っていることが説明されました。この説明により、Cグループの財務状況が悪化しており、倒産リスクが高まっていることが示唆されました。
そもそも、当初「管理薬剤師を用意していただける」という約束のもとで開局準備を進めていましたが、開局前の準備期間中にCグループからの連絡が突然途絶えました。この結果、D社は急遽、自ら管理薬剤師を手配する必要に迫られ、契約の履行に重大な支障が生じました。また、D社がCグループに加入する際、Cグループが契約している医薬品卸業者との取引が何度か停止されているという情報も得ており、これがD社の懸念をさらに強める結果となりました。
こうした一連の事実から、D社は『契約書の第12条「解除」(8)『資産や信用状態が悪化し、そのおそれがあると認められる相当の理由があるとき』に基づき、Cグループが財務的に不安定であると判断しました。このような状況で仕入れ代金を支払えば、回収不能に陥るリスクが極めて高いと判断されました。そのため、財務健全性を守るために支払いを停止する決定は、不可欠な措置と考えました。
以上の理由により、契約に基づき、Cグループの財務的な不安定さが明らかであったため、D社はリスクを回避し、資産を守るために支払いを停止するという権利を行使したものです。