インフルエンサーの名誉毀損事案
【相手方】 登録者数97万人のYouTuber A
【当方】 登録者数19万人のYouTuber B
【第三者】 登録者数100万程度のYouTuber C
8月6日
AがSNS上で配信
8月7日
Aの配信内容のまとめが投稿される……①
以下内容
『今日のA
C卒業発表後、テンション MAX でツイキャス開始ポスト
上機嫌で卒業ソングを歌う
どうしたのみんな?w とやたら含み笑いしながらコメントと会話(コメント欄は「(Cの蔑称)引退」
の連投)
唐突に紙に Thank you と手書きでサインする
「正義は勝つ」と〆の言葉を放ち終了』
8月29日
当方が①の内容を確認、動画内にて批判を行う。動画の内容はある程度悪口を含む。
8月30日
当方が上げた動画に対して、Aが『事実無根で誹謗中傷である』と反論、当方から、証拠として当日のアーカイブを開示するよう要求。
同日、別の人物からアーカイブが開示される。周辺からの圧力が強く、当方も慌てて確認当方の誤りだった可能性が高いと認め、SNS上で謝罪。相手方から『謝罪動画を掲載するまで本件解決していない』との指摘があり、同日謝罪動画を投稿。相手方から連絡先を求められ、メールアドレスを通知。
8月30日ー9月8日
Aが配信内にて『示談は無理だな』『後日警察に行きます』と言った発言を行う
9月8日頃
第三者よりアーカイブを再度見返したところ、①の配信内の出来事が概ね事実であったことが判明する。
また、①の内容のうち下二つはCの引退とは全く関係ない者であるが、当方動画内でもそういった発言を読み上げはしたものの、個別にCの引退を喜んでいる者と結びつけるような発言は行っていない。
また、Cの引退を歓喜していたかどうかについては正確には不明ながら、『Cのあだ名』『Cの蔑称』『卒業』などのコメントが連投されていた証言はあり、SNS上を確認する限りで、当日配信を見た人間が『卒業おおよろこびで草』『ウッキウキだろうなと思って見に行ったら案の定で草』『引退露骨に喜んでるの草』といった発言が見受けられる。
9月11日
相手方弁護士より、『通知人は、実際にはそのような配信を行っておりません。』と、投稿内容はすべて真実ではないといった発言を行った上で、『正確に事実関係を調査することもせず』『Cの引退を換気するかのようなライブ配信を行った』ため、民法上の不法行為、刑事上の名誉毀損罪・侮辱罪を適用する。
ただし、穏便に済ませるのもやぶさかでない。個人情報を提供して示談、という内容の通知文が送られてくる。
9月12日
当方がX上にて、①の一部が事実であったことを指摘する
9月15日
Aが配信内にて、上記指摘を『印象操作』と発言。『弁護士に複数回注意させてる』といった虚偽発言を行う。
また、当方がAの配信を違法にアップロードしていると発言。
当然そういった事実はない。
コレが現状です。ちなみに相手方はすでに別途配信内で『被害届を後日出す』と明言しています。
【質問内容】
1.相手がたの示談通知文に対して、『配信の事実はない』と言った指摘をするべきでしょうか
2.9月15日の配信ですが、当方を『著作権違反者』と断言するような内容が含まれていました。
本件は名誉毀損に該当しますでしょうか。
3.相手がたは上記内容で『刑事訴訟』『民事訴訟』を行う準備があるといった話をしていますが、
結論として内容が真実であり、最終的な争点はCの引退を歓喜していたかどうかが争点になると思われます。
引退を歓喜していたかどうかは本人しか分からない内容ですが、これで名誉毀損が適用されるでしょうか。
それとも『個人の感想』レベルの内容で収まる者でしょうか
4.上記内容で相手が開示請求を行った場合に、開示請求が通る可能性はありますでしょうか
5.刑事事件にて起訴される可能性はありますでしょうか
6.そもそも示談をするべきでしょうか
現状弁護士と顧問契約を行っておりますが、あまりにも反応が無いため別途弁護士の方に相談を行いたいです。
状況次第では現状の弁護士との契約を解除、お仕事のお願いをしたく思っております。
長々と質問して申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
すでに謝罪動画の配信まで行っているので、これ以上は反応しない方がよいでしょう。8月29日にどのような悪口を言ったかにもよりますが、視聴している多数の方もAがCの卒業を歓喜していると受け止めるものであったため、それに対する批判・抗議の表明であったはずです(それに対しては誤解があったと謝罪動画を配信されています)。
十分確認しないままAを批判したと言われても仕方ない面はありますが、逆に、Aは著作権違反と断定し、名誉毀損に該当する可能性のある配信をしています。
刑事事件にすることも示唆されていますが、率直に言って警察が立件する内容かは、疑問を感じますが、8月29日発信した内容次第ではあります。
民事の不法行為責任も問題にしてくる可能性があり、ご指摘のような真実性または真実と信じる相当の理由の有無のほか、発信した内容(意見・論評)の公共性・公益目的性・意見・論評としての相当性が判断されます。
民事で問題にしてくる場合は、プロバイダへの開示請求をしてくるでしょうけれども、意見を求められた際、経緯や上記の判断のポイントについて適切な反論を行うべきでしょう。