後継社長に解任された元取締役が未払役員報酬を請求する方法は?

お答え願えたら嬉しいです。

とある会社の前オーナー社長である質問者は、後継オーナー社長との良好な関係もあり、名目上の平の取締役として役員報酬を頂いておりましたが、後継社長との関係がギクシャクしだし、しまいには役員報酬も貰えなくなった上に取締役も解任されてしまいました。

かといって、後継社長との連絡を取りたくもない私としては、未決の役員報酬の請求も諦めておりましたが、でも、やはりということで、時効(5年?)との関係もあるのかどうか、頂いていない令和元年分の大半の役員報酬の支払いを求めてみたいのですが、その訴えの提起そのものは可能なものでしょうか?。

(取締役を解任されたのは、 令和元年の12月末です)

( 訴えた後の勝ち負けはともかくのお話です)

( 可能かどうか、訴額は170万円ですが、 代理人弁護士さんへの、一般的な着手金と成功報酬についても、お聞かせください)

よろしくお願いいたします。

訴えることはできるでしょう。
請求が認められるかどうかは正当な理由次第ですが、名ばかり取締役ということですと、争われることになるでしょう。

弁護士費用に関しては、事務所次第ですが、トータルで50万乃至60万円といったところが相場であるように個人的には思います。

会社法
第三百三十九条 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

早速にありがとうございました。

またすみません。

私のこの場合の時効については、気にしないでも良いのでしょうか?。

会社法第339条2項の損害賠償責任の法的性質をどのように解するかにより、時効期間が異なってきます。
 法律により設けられた特別の責任(法定責任)と解される場合、消滅時効期間は5年と考えられます。他方、不法行為責任と解される場合は消滅時効期間は3年とされます。
あなたのケースでは、消滅時効期間との関係で、会社法第339条2項の損害賠償責任の法的性質の解釈が一つの争点となりそうですが、まだ時効にかかっていないと解釈できる可能性もあるため、やはり損害賠償請求を行いたいというのであれ、早めに弁護士に直接相談•依頼し、請求行動を試みるべきでしょう。
 参考までに、会社法第339条2項の損害賠償責任について私が解説した記事もご紹介しておきます。

【参考】
「名ばかり取締役」がいちいち経営に口出し!→「すぐに解任したい…」法的には可能。だが"潜むとんでもないリスク”とは【弁護士が解説】
https://gentosha-go.com/articles/-/49186?page=2

 なお、消滅時効対策として、時効期間が経過する前に、会社に対して内容証明郵便等で請求(催告)しておき、半年間の時効の完成猶予を得ておく方法もあります。

【参考】民法
(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

清水先生

ご回答をありがとうございました。

また質問させてください。

ご回答の中の「やはり損害賠償請求を行いたいというのであれば」の損害賠償には、慰謝料のことも含まれるのでしょうか?。

宜しくお願い致します。

参考として紹介した記事で以下のとおり解説しております。

「どのような費目がこの損害に含まれるのでしょうか。まず、役員報酬、役員賞与、退職慰労金等は、この損害に含まれると言われています。また手当等異なる名称が使用されていても、実質はこれらと同じような性質の金員と判断されれば、損害に含まれる可能性があります。
慰謝料や弁護士費用については、これらの損害に含まれないと述べる裁判例もありますが、含まれるとする見解もあり、争いがあるところです(なお、含まれないとしても、民法の不法行為などの別の法律構成で賠償請求される可能性もあります)。」

→ このように、法律構成の工夫等次第では、慰謝料請求の余地もあるのですが、あなたのケースでは、不法行為構成で請求しようとすると、3年の消滅時効の壁に阻まれるリスクがあるため、慰謝料請求までは難しいかもしれません。
 損害のメイン部分は役員報酬の部分かと思われます。会社法第339条2項の損害賠償責任の法的性質について、法律により設けられた特別の責任(法定責任)と解する立場であっても、時効期間の観点からは、早めに請求行動を試みる等の対策を講じておくべきかと思います。
 この掲示板での私からの回答はこれで終わりにさせていただぎす。より詳しくは、証拠を持参の上、法律事務所に赴いて弁護士に直接相談•依頼してみることをご検討下さい。

清水先生

承知しました。

お忙しいのに、ありがとうございました。