Instagram等のアカウントを買っての不同意性交の有無
フォロワーがついている外国人などのInstagramのアカウントを買って、そこに自分自身の写真を載っけて、インフルエンサーみたいにして、女性にDMして関係持ったりしている友人がいるのですが、このようにアカウントを買って、自分がフォロワーを伸ばしたかのように見せて、関係を持つ行為は犯罪に当たらないのでしょうか?
犯罪にはならないでしょうね。ほとんどのSNSはアカウントの売買を禁止しているので、SNS運営会社との関係で規約違反として損害賠償の問題になり得ます。
欺して行う不同意性交罪(177条2項)が一応検討されると思いますが、人違い=行為者の同一性について欺した場合に限定されています。「フォロワーがついている外国人などのInstagramのアカウントを買って、そこに自分自身の写真を載っけて、インフルエンサーみたいにして、」という場合は、ふつうは行為者の同一性については欺していないので、不同意性交罪にはなりにくいでしょう。
第一七七条(不同意性交等)
2行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律について法曹時報 第76巻01号
「行為をする者について人違い」とは、行為者の同一性について錯誤があることを意味するものであり、例えば、
○真実は夫とは別の人物であるのに、暗闇の中で、行為者を夫と勘違いした場合
などがこれに該当する。
これに対し、行為者の同一性は正しく認識した上で、その属性に関する誤信をしているにすぎない場合には、本項の「人違い」には該当しない
(注24) 例えば、
○真実は無職であるのに金持ちの社長であると偽られ、そのように誤信した場合
○真実は既婚者であるのに、未婚者であると偽られ、そのように誤信した場合
については、相手方の職業、資力や婚姻関係の有無という属性に関する誤信があるにすぎないことから、いずれも、「行為をする者について人違い」をしている場合には該当しない。
このように、本項において、行為の相手方の社会的地位等といった属性について誤信があるにすぎない場合を処罰の対象としていないのは、このような誤信は、言わば、性的行為をする動機に関する誤信であり、現時点において、そのような誤信があることのみをもって処罰対象とすべきであるとまでは必ずしもいえないと考えられることによるものである。