養育費不要と口頭で言ったが、調停を申し立てて養育費を貰う事ができるか

夫の借金が原因で協議離婚、親権は妻。
離婚時に妻より口頭で「養育費はいらない。」と言ってしまった。
理由としては、借金が多額で養育費を支払う能力がないと思った事、能力がないので請求出来ないと思った事、また妻が感情的になり早急に離婚したいと思い、いらないと言ってしまった。
家計は夫が管理していたため、預貯金額は不明。多額の借金があり財産などないだろうと思い、財産分与の代わりに使用していた家財道具一式を妻が受け取った。

離婚して数年たち、3人の子育てにはやはり養育費が必要と感じ調停を申し立てた所、結婚時に聞いていた年収より多く貰っている事が分かった。
調停の中で夫に、口頭で「いらない」と言ってしまった事を出され、調停員にも指摘された。
夫は、養育費は払わず学資保険をかけ、子供たちが成人した時にまとめて渡すと主張したが、現時点で学資保険に支払っている形跡はない。

夫は遠方の実家に戻ったため、面会交流はテレビ電話を月1回していたが、次第に夫は面会交流をしなくなり、現在は行っていない。

この場合、調停をしても養育費が貰えない可能性はありますか?

父母間における養育費の不請求の合意については、子の父に対する将来の扶養料請求権の放棄としての効力は生じない旨判断した以下の裁判例があります。
 「未成年者の扶養義務者である父母の間でその一方が他方に対し、養育費を請求しない旨の念書を差し入れたとしても、それが子の親権者として子を代理し、父に対して生ずる将来の扶養料請求権の放棄であれば民法881条によりその効力がないことは明らかであり、また、仮に前記母が負担する養育費を父に求償しないことを定めたにすぎないものであれば、右協議は両扶養義務者間でいわば債権的効力を持つにすぎないから、扶養権利者がその具体的必要に基づいて扶養料の請求をすることは何ら妨げられない」(札幌高裁昭和43年12月19日決定 家庭裁判月報21巻4号139頁)。

 ご自身での対応が難しい場合には、お住まいの地域等の弁護士に依頼する等して対応してもらう方法もあるかと思います。

養育費の請求権は親が勝手に放棄をすることができるものではありません。そのため、口頭でいらないと話していたとしても請求は可能です。

支払いがなされていないのであれば、子どものためにもしっかりと養育費について決めておく方が良いでしょう。