痴漢被害で示談金に納得できない場合の対応方法を教えてください

痴漢の被害者です。
加害者の弁護士から連絡があり、示談書案が送付されましたが、示談金に納得できません。
(そもそも示談するメリットとデメリットが明確ではないので、判断を迷っています)

【事件の情報】
・迷惑防止条例違反
・逃亡しかけ、捕獲後からずっと否認していた
・初犯かは不明(手口からして何回もやってるとは思いますが)

【被害後の私の変化、状況】
・睡眠障害
・精神科に通い、抗うつ薬と睡眠薬を処方
・食事もできず、事件以前の日常に戻れない
・電車、駅が利用できない(通勤への影響)
・知らない男性への恐怖心

その他諸々あります。
相場が30〜50万と聞いており、30万を提示されていますが全く示談に合意しようと思えません。
ですが、私も精神的に不安定で、周囲の人からも「早く終わらせた方が良い」と言われます。
示談で終わらせるなら50万でないと納得できないのですが、どう対応したら良いですか。

50万円に拘った場合のデメリットは
相手方次第でしょう。
今後の身柄拘束の可能性はないでしょうし、罰金刑をどの程度のこととして相手が受け止めるかによります。
罰金でいいとなってしまった場合は、被害回復が難しくなってしまう、ご自身で弁護士に依頼をしてとなると費用対効果の面でかなり厳しい状況になります。

端的に示談に応じた場合のメリットとデメリットを記載します。

メリット
・難しい手続きを得ずに、確実に金銭的な補償を得られる。
・刑事手続、とりわけ被疑者との間の関係性を終わらせることができる。

デメリット
・多少の交渉はできるとしても、相手方呈示の被害金額で了承せざるを得ない。
・刑事処分の判断に対して、被疑者に有利な影響を与える。

なお、相手方の示談に応じずに金銭的な補償を得たい場合、相談者さんの方で法的措置(調停や訴訟等)を取って、債務名義(判決等)を得た上で相手から金銭を取得するという流れになるのが一般的です。
時間・費用・労力が相応にかかりますし、判決が得られても、相手方に資力がなければ被害金を回収できない可能性があります。
以上を踏まえて、検討されてみてください。
もし、現在の示談交渉について自身で判断できないと感じている場合、多少の費用は掛かりますが、示談交渉そのものにつき弁護士に依頼し、相談者さんに代わって交渉してもらうこともできます。

痴漢行為とのことですが、仮に示談に応じずに民事訴訟を選択した場合に裁判所が認める慰謝料額は、おそらく想定よりもかなり低額になってしまうのだろうと予想します。
特に、態様がある程度悪質でなければ、50万円の慰謝料額が認容されるかどうかは微妙と言えます。

仮に示談に応じなかった場合、弁護人は被疑者の処分後は示談交渉を行ってくれませんので、回収はなおのこと困難となります。

希望の金額が得られなければ示談そのものを行わず処分を検察官に委ねるか、多少の不満はあっても早期の確実な解決のため現在の金額で示談をするか、いずれをご自身にとって最優先とするか、というところだと思います。

お悩みかと思いますので、取り急ぎ、ご回答いたします。

ご相談者様のお気持ちや憤り等は、被害者としてごもっとだと思いますし、その一方で現実問題として、早く解決したい、いつまでもこの件で頭や精神を疲弊させたくないという考えも、自然なことと思います。

法的な点やメリット・デメリットは、他の先生方が書かれているとおりかと思います。

今回、ご相談者様として、重要なことは、被害の内容や自分の苦しい状況や現在の状態、加害者側の態度等からすると、30万円という金額では到底納得できない、というところかと思います。
今回、前科前歴にもよりますが、通常であれば、おそらく、示談をしてもしなくとも、加害者側は不起訴で終わる可能性が高いかと思います。
そのため、刑事裁判等の中での制裁や、被害者の心情などを裁判官に分かってもらう、といったことは困難です。
そして、金銭的な点や労力等をみれば、示談をせずに、請求をするとなると、民事訴訟の提起となります。
ただし、民事訴訟の提起の費用や労力、そして加害者側の言い分を聞くこと自体、相談者様にとっては多大なストレスとなると思います。

逆に、示談の中で、50万円まで増額されるかは、他の方が記載しているように、相手方次第というところです。
このあたりは、微妙な交渉であり、交渉次第では、多少の増額ということはあり得るかもしれません。

今回、迷惑防止条例違反ということですが、痴漢の類型であり、場合によっては、弁護士費用の援助制度である犯罪被害者援助制度が使えるかもしれません。
この制度が使えれば、少なくとも弁護士に交渉を依頼しつつ、事実上弁護士の着手金の負担を考えずに済みます。
一度、弁護士にご相談されても良いかと思われますが、ご相談されるのであれば、加害者側も検察官の処分までの間が一番示談をする意欲がある状況ですので、お早めにご相談されることをお勧めいたします。

最後になりますが、一日も早く平穏な日常に戻られますようご祈念いたします。