執行猶予期間中、刑事告訴された場合どうなるか

約9ヶ月ほど前に特殊詐欺の受け子で逮捕されました。立件一件の被害額が200万円でした。謝罪分、被害額の全額弁済にて懲役2年執行猶予4年の判決が言い渡されました。
現在、執行猶予期間中ですが、逮捕される1ヶ月ほど前に口座売買を行っていました。勾留中に取り調べにて銀行取引詳細などは見られている状態ですが、警察は情報は把握していると思います。釈放から約6ヶ月少したち、見知らぬ弁護士から一通の書面が届きました。
内容は、AさんがSNSで知り合った詐欺師に欺罔されて、これを信じた結果、自分が売ってしまった口座に約9ヶ月前に約1250万円振り込んだという事。利得返還請求権の行使として、通知が届いてから1週間以内に全額返還してください、返還されない場合は詐欺罪、犯罪によるの収益移転防止に関する法律違反による刑事告訴を行うと弁護士から通知書が届きました。
実際口座がそんなことに使われている事実も知りませんでした。
釈放後すぐに口座の解約は行ったんですが、こんなに被害を受けてしまっている以上、もう刑罰は免れないのでしょうか。
執行猶予期間中なので、次逮捕されると懲役刑が科されるので恐怖でしかないです。
前科で被害弁償を全額払い、反省し、これから更生しようという矢先にこの始末です。
いったいどうしたらいいのでしょうか。

まず、執行猶予となった件につき、執行猶予判決が取り消されないよう留意すべきでしょう。

 過去の期間に犯した罪につき、起訴され、禁錮以上の実刑に処せられた場合(「猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。」)、既に言い渡された執行猶予判決が取り消されることになります。
 そのため、過去の期間に犯した罪が起訴されないようにしたり、起訴されたとしても、執行猶予となるよう防御活動を試みるべきでしょう(示談•被害賠償やあなたの関与の内容•程度が詐欺罪には至っていないことを示していく等の防御活動が考えられます)。

【参考】刑法
(刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
第二十六条 次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

 なお、執行猶予の期間内にさらに犯した罪と過去の時期に犯した罪とでは、執行猶予の条件が異なります。

•執行猶予の期間内にさらに罪を犯した場合
→ 刑法25条2項の条件を満たすか否か(刑法25条1項よりも厳格な条件を満たす必要あり)

•過去の時期に犯した罪の場合
→ 起訴手続上の都合等によって、たまたま別個に審判されるに過ぎないため、猶予の期間内にさらに犯された罪のように情状が重いとは言えない
→ 刑法25条1項の条件を満たすか否か

【参考】裁判例検索から引用
(最高裁大法廷昭和31年5月30日判決)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51344

 いずれにしても、お住まいの地域等の弁護士に直接相談してみることもご検討下さい。

ご丁寧なご回答ありがとうございます。
現在、自己破産手続き中で一旦自己破産手続きを取り消しました。一旦そちらの弁護士にご相談したいと思います。
また、示談で告訴を取り消してもらうとなると相手次第になると思いますが、自己破産をせざるを得ない状況だと示談は難しいでしょうか。