アルバイト同士で起きた損害賠償請求に関する相談
焼き鳥店を営んでいます。
先月のGW中にアルバイト同士のいざこざがあり、片方のアルバイトが雇った弁護士から私宛に損害賠償請求が届きました。
繁忙期の3日間だけ雇った短期の女の子からなのですが、相手の主張としては「常勤のアルバイトから罵倒された上に、指導不足のせいで焼き台で火傷をした、これらの精神的苦痛として慰謝料として20万円を要求する」というものでした。
常勤のアルバイトから聞いた話では、
・火傷は短期の子が調理している際に自身のミスで起きた
・調理方法については説明していた
・振った仕事をすぐ忘れるので「なんで今さっきお願いしたことを忘れるんだ!」「3歩歩いたら忘れるとか鶏か!」と言ってしまった。
常勤のアルバイトと短期アルバイトが一緒に仕事をしたのは3日間中1日のみで最終日に起きたことだったようです。
罵倒に関してはこの2つを言ったが、1回のミスで起こったのではなく、些細なミスが続き、勢いで上記の言葉が出てしまったといっています。
短期の子はその日勤務終了まで何も言ってこず、繁忙期のお疲れ会(奢り)にも参加してくれていたので、そのような問題が起きていたとは知らず、弁護士からの手紙で初めて知りました。
ミスに対して使った言葉が正しかったとは私も思いませんが、1回の罵倒で慰謝料請求されるほどのものなのかと疑問に思っております。ちなみに火傷に関しては病院には行ってないとのことでした。
そこで質問なのですが
①この慰謝料は私(会社)が支払わなければいけないのでしょうか。
②そもそも指導には問題がなく、自分で火傷してしまったことに対して医療費を支払うならまだしも、慰謝料を支払う必要があるのでしょうか。
③また支払わなければならないとして、常勤のアルバイトに負担させることは出来るのでしょうか
④訴訟となった場合は、店側に勝機はあるのでしょうか
①会社側には安全配慮義務があり、当該義務の違反があれば、賠償責任を負います。
②指導に問題がないと言えるかは即断できるものではありません。一定の危険性を伴う作業を不慣れな短期バイトに単独でさせていたという状況からすると、指導に問題がなかったとは言えないように思われます。
③火傷の点とパワハラの点は分けて考える必要があります。
パワハラ部分に関しては、一定程度負担させる余地はあろうかと思います。
④果たして訴訟になるのかという気はしますが、ざっくりとした見通しとしては、上記で述べましたように、火傷とパワハラの点に関して主張立証がなされれば、安全配慮義務違反が肯定され、賠償責任が生じるものと思われます。
①:
会社の安全配慮義務違反あるいは使用者責任に基づく賠償責任が生じ得るところです。
②:
具体的にどのような業務がアルバイトによって担われており、当該業務を短期アルバイトが安全に行うためにどのような水準の指導が具体的に必要となるのか等々を事案に即して検討する必要があります。仮に、これらの検討を踏まえても、常勤アルバイトの指導等に問題がなく、短期アルバイトにのみ責任があると評価できるような場合には、少なくとも火傷の点については会社の支払義務はないと考えられます。
③:
常勤アルバイトのパワハラが認定される場合には、一定の負担を常勤アルバイトに求めること(求償)は可能だと考えられます。
④:
②との関係でどのような主張立証ができるかによります。証拠等が十分にあれば別ですが、そうでない限りは、必ずしも勝機があるとはいえないと思われます。示談で話がまとまりそうであれば、その方が穏便だと考えられます。なお、示談書の確認等については、念のために弁護士に個別に相談してもよいかもしれません。
ご回答ありがとうございました。
加えて御教示頂きたいのですが、訴訟になった場合はお互いどのくらいの費用となるのでしょうか?少額訴訟制度は拒否し、通常の民事裁判費用の目安を教えて頂けますと幸いです。
金額的に簡易裁判所案件で本人訴訟になるかと思いますので、
実費ベースで言えば1万円未満でしょう。
弁護士に依頼をするとなれば、相手方請求金額を超えることになるかと思われます。
原告側が本人訴訟を選択する場合は、収入印紙代(20万円を請求する場合は2000円ですが、提訴時の実際の請求金額に応じて増減します。)、裁判所に予納する切手代(6000円程度)、出廷する際の交通費などがかかります。
被告側が本人訴訟で対応する場合は、交通費、書類郵送代(通信費等)の負担が考えられます。
弁護士に委任する場合には、上記に加えて弁護士費用が必要となるのは、原告被告共通です。